痛いところが本当に悪いとは限らない、というお話(後編)

前回の記事の続きになります。
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痛いところが本当に悪いとは限らない、というお話(前編)

2014.9.17-1

通勤カバンを変えたことが原因だった

痛みが出る半月ほど前から通勤かばんを変えたことを思い出しました。
これまでは今より小さめのバッグを斜めがけにしていましたが、新しいものは片側の肩に掛けるという使い方をしていたのでした。しかも利き手である右手はメモをとったり、スマートフォンを触ったりと忙しいためバッグはずっと左肩に掛かったままです。少なくとも毎日1時間以上はずり落ちないように無意識に左肩を少し挙上させた状態が続いていたのです。これなら当然左の僧帽筋にコリやトリガーポイントが発生します。

なるほど、原因はバッグを変えたことだったか!と気づいたので、今度はその習慣を変えると同時に左の僧帽筋のトリガーポイントを治療をすることにしたのです。

咬筋のトリガーポイントも潜在化!

妻にも手伝ってもらい、左の僧帽筋のコリを取るように圧迫治療をしました。その日の夜は刺激したことから左顎の痛みが再発していましたが、翌日以降も僧帽筋への圧迫を続けたところ、やがて左顎の夜間痛は全くなくなりました。それに加えて、左顎周囲の歯茎の浮いた感じや水のしみる感覚も治まっていきました。

現在は咬筋を押さえても、痛みとして感じることはなくなりました。
ただしあくまでも潜在化しているだけなので、時々僧帽筋のトリガーポイントが活性化してきていないか、咬筋に響いてきていないか気をつける必要があります。
バッグは長時間同じ肩に掛けることがないように注意しています。

他から痛みが来ていないかを考えることも大事

私の事例をご紹介した理由は、「一見、痛いと思っているところが果たして問題のある場所かどうかが分からないこと」と、急にいつもと違うこと(例えば腰が痛くなったとか、膝が痛くなったとか)が起こった場合には、「思い当たるフシがないか考えてみること」の大切さをお伝えしたかったからです。

理学療法でも腰が痛いと言われる方の評価をしてみると、原因は膝の痛みをかばっていたから、というように本人も気づいていない理由がこっそり隠れていたりすることがよくあるのです。
その場合腰の治療ばかりをしていても膝の痛みが治らないかぎりずっと腰に負担がかかったまま、腰が痛い→腰の治療→改善→また痛い→また腰の治療、を繰り返してしまい、本当の解決にはならないことも多くあるのです。

もちろん、「他に思い当たるフシがない!」ということもあるでしょうから、すべてがそうであるとは言い切れません。しかし腰や膝、あるいは肩の痛みを感じておられるかたは、一度は「なにか思い当たるフシがあるかどうか。」、「どこか他からの影響で痛みが出ているのではないか?」を考えてみる価値はあると思い ます。

それを考えることが有効なもう一つの理由は、思いたるフシ、で考えられる原因を一度取ってみて、それで改善するかどうかを確かめることが次の治療に繋がるということです。

例えば腰が痛い、という症状の方が思い当たることを考えてみたとします。「どうも、ソファに寝そべってテレビを見ていると腰が痛くなるようだ」と判断したら、それを一度やめてみます。もしそれで腰の痛みが改善したならば原因はほぼそれで間違っていないということになりますし、それでも改善をしないということは、他の理由(あるいは他の疾患)が考えられるということになります。つまり自分で原因を鑑別することにつながるのです。

その後病院に行かれたら、医師に「ソファに寝そべってねることが原因かと思ってそれをやめてみましたが、あまり改善には関係ありませんでした。」と伝えましょう。その情報がいろいろある方が、医師にとっても参考になり、診断の際の材料になるのです。

ということで、2回にわたって私の経験談をお話しました。
痛みで悩んでおられる方の何らかの解決の一助になれば幸いです。

 

※2016.2.6追記
コラムLatteに「咬筋のトリガーポイント」の見つけ方や自分でできる対処方法についてのコラムを書きました(図解あり)。以下のリンクへどうぞ。

頬のコリが歯痛や歯茎痛の原因!?トリガーポイントによる痛み解消法