姿勢を良くすると記憶力がアップ!学力向上を支える科学的な理由と家庭でできる具体的方法

お子さんの学力を伸ばしたいと思ったとき、どんな方法を考えますか?

塾に通わせたり、参考書を増やしたりする方が多いかもしれません。

でも実は、「姿勢を良くする」ことが学力アップに大きく影響するのをご存じでしょうか?

今回の記事では、姿勢と学力の関係について解説すると同時に、ご家庭でもできる姿勢をよくする取り組み方法を具体的にご紹介します。

姿勢が学習に与える意外な影響

フロリダ州立大学のDijkstra氏の研究(2005年)によると、「同じ姿勢を取ること」は、自伝的記憶力(自分自身に関する記憶)を強化するという結果が示されました。この記憶力は長く持続する傾向があり、学習やテストでのパフォーマンスに大きく影響を与える可能性があります。

つまり、良い姿勢で学ぶことで、記憶の定着力が高まり、学力向上につながるということです。

例えば、背筋を伸ばして椅子に座り、机に向かって勉強する姿勢は、集中力を高めるだけでなく、脳の活動を活発にし、情報を効率的に処理する助けになります。反対に、猫背のような姿勢では、酸素供給が減少し、集中力が低下しやすいことも分かっています。

このように姿勢が学習に与える影響は、私たちが思っている以上に大きいのです。

子どもの姿勢が崩れる原因とは?

現代の子どもたちは、以前に比べて姿勢が崩れやすい環境にいます。その理由のいくつかを簡単にご紹介しましょう。

長時間のデジタル機器の使用

スマートフォンやタブレットを長時間使うことで、首が前に傾き、肩が丸まるような前かがみの姿勢が習慣化してしまいます。

またそれによりストレートネックになるなど、骨や関節の問題にもつながってきます。

運動不足

学校や家庭での活動が座りがちになると、姿勢を支える筋肉が十分に鍛えられず、体全体が崩れやすくなることにつながってしまいます。

低緊張タイプ

筋肉には一定の「張り」がありますが、これが一般的なお子さんよりも低い状態にあるお子さんを「低緊張タイプ」と呼びます。低緊張タイプのお子さんは運動が苦手な傾向があり、そのため上記の運動不足状態になり、持久力などの育ちにくさにつながります。

家具のサイズが合わない

椅子の高さが合わず、足が床に届かないといった状況は、無理な姿勢を取る原因となり、それが学習効率の低下にもつながります。

こうした要因が積み重なることで、子どもの姿勢はどんどん悪くなり、それが学習や健康にまで影響を及ぼしてしまいます。

姿勢を良くすることで得られる学習効果

集中力の向上

良い姿勢を取ることで、体全体に負担がかからず、長時間の学習でも疲れにくくなります。その結果、集中力を持続しやすくなります。

記憶力の向上

正しい姿勢で学ぶことで、呼吸が深くなり、脳に必要な酸素が十分に供給されるため、情報の処理能力が高まります。

自信のアップ

姿勢が整うと見た目にも自信が持てるようになります。このポジティブな感情が学習意欲を高める効果もあり、結果として学力アップにつながるのです。

家庭で簡単にできる姿勢改善の工夫

では、ご家庭で姿勢を良くする取り組みをする場合、どのような点に留意するのがよいでしょうか。

以下、いくつかポイントをご紹介しますので参考にしてください。

学習環境を整える

お子さんの姿勢を改善するためには、まず正しい学習環境を整えることが大切です。

机と椅子の高さを調整する際には、肘が直角に曲がる位置を目安にします。椅子の高さは足の裏が床につくように設定しましょう。

さらに、暗い部屋で勉強することが姿勢の悪化を招くこともあるため、適切な明るさの照明を用意することも重要です。

  • 椅子と机の高さを子どもに合わせる
  • テーブルの高さは、肘が90度に曲がる位置が理想的
  • 必要に応じて、足置き台や背もたれクッションを使用
  • 照明の明るさも考慮

姿勢を意識させる

日常的に「背中をまっすぐにして座ろうね!」などの声かけをすることが効果的です。また、姿勢が崩れやすいと感じたときには、5分ほど立ち上がってストレッチをする時間を設けると良いでしょう。

日常的な姿勢トレーニング

正しい姿勢を習慣化するためには、日常生活の中で楽しみながら取り組めるトレーニングが効果的です。特別な道具や時間がなくても、簡単なエクササイズや遊びを取り入れることで、子ども自身が姿勢を意識しやすくなります。

家族みんなで取り組むことで、継続しやすく、楽しい習慣として定着させることができます。

私の著書「子どもの姿勢ピン!ポーズ」は、親子で様々なポーズを取ることで、楽しみながら姿勢改善を図れます。よろしければ読んでみてください。

姿勢改善を習慣化するためのコツ

姿勢をよくするためには、継続した取り組みが必要です。そのためには、お子さんが「飽きずに」「楽しい」と思える方法で、長く続けることが大切になります。

以下にいくつかのコツをご紹介します。

目標を持たせる

例えば、「1週間、良い姿勢を保つとご褒美がある」といった形で目標を設定すると、子どもも楽しく取り組むことができます。

成果を実感させる

定期的に写真を撮って姿勢の変化を見比べることで、努力の成果が実感しやすくなります。

家族全員で取り組む

家族で一緒に姿勢改善に取り組むことで、子どもも自然と良い姿勢を保つ習慣が身につきます。こうした工夫を日常生活に取り入れることで、姿勢改善が自然な流れで定着していきます。

まとめ

姿勢を良くすることは、単に見た目を整えるだけではなく、学力や記憶力、そして集中力を向上させる効果があります。フロリダ州立大学の研究でも示されているように、良い姿勢はお子さんの成長にとって欠かせない要素です。

ぜひ、家庭や学校で姿勢改善に取り組んでみてください。その変化は、学力だけでなくお子さんの自信や健康にも良い影響を与えるはずです。