
こんにちは。子どもと姿勢研究所代表で理学療法士の西村猛です。
最近、「ストレートネック」という言葉を耳にする機会が増えました。この症状は、スマホやタブレットの使用が増えた現代では大人だけでなく子どもにも見られるようになっています。
ストレートネックとは、本来緩やかなカーブを描いている首の骨が真っ直ぐになってしまう状態を指します。
この記事では、ストレートネックが子どもに与える影響や、予防・改善のために家庭でできる取り組みをわかりやすくお伝えします。
子どものストレートネックの原因
ストレートネックは、日常生活の中での姿勢や習慣によって引き起こされることが多いです。特に次のような原因が挙げられます。
- 長時間の前かがみ姿勢
宿題や読書、さらにはタブレットやゲームに夢中になることで、自然と首を前に傾ける姿勢を取ることが増えます。このような姿勢が続くと、首の筋肉や骨に負担がかかり、ストレートネックの原因になります。特に学校での勉強時間が長くなる小学生以降は、座りっぱなしの時間が増えるため注意が必要です。 - 運動不足
首や背中を支える筋肉が弱いと、首が正しい位置を保ちにくくなります。最近では、屋外で遊ぶ時間が減り、運動不足による筋力低下が問題視されています。さらに、遊びの多くがデジタルデバイスを使うことに偏ると、首や肩周りの筋肉が鍛えられる機会が失われます。 - 姿勢のクセ
食事中や椅子に座るときの姿勢が悪い場合、首や背骨への負担が増えます。机や椅子の高さが合わない場合も、ストレートネックを引き起こす要因となります。特にソファやベッドでスマホを長時間操作することは、首に大きな負担をかけます。
ストレートネックが子どもに与える影響
ストレートネックが進行すると、以下のような影響が現れることがあります。
- 首や肩のコリ、頭痛
首の筋肉が緊張しやすくなるため、肩こりや頭痛が頻繁に起こることがあります。この症状は子ども自身が不快感を言葉にできない場合もあるため、保護者が注意深く観察することが重要です。 - 集中力の低下
首周りの筋肉の過剰な緊張が神経や血流に影響を与え、疲れやすくなることで集中力が下がる場合があります。例えば、宿題を途中で投げ出したり、学校での授業中に姿勢を崩すことが増える場合、ストレートネックが関係している可能性があります。 - 体全体の歪み
ストレートネックが進行すると、背骨全体のバランスが崩れ、腰痛や姿勢の悪化を招くこともあります。これは、成長期の子どもにとって骨格の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
ストレートネックを予防する方法
日常生活で少し気をつけるだけで、ストレートネックを予防することができます。
- 正しい姿勢を習慣づける
学習机や椅子の高さを調整し、耳・肩・腰が一直線になるように座る姿勢を意識しましょう。食事中や読書中も、背筋を伸ばす習慣をつけることが大切です。また、家族全員で正しい姿勢を心がけることで、子ども自身も意識しやすくなります。 - 画面の高さを目線に合わせる
スマホやタブレットを使う際は、画面を目線の高さに合わせる工夫をしましょう。例えば、タブレットスタンドを使うことで自然と首の角度が改善されます。また、スマホを使う時間を制限するルールを家庭内で設けることも効果的です。 - 適度な休憩を取り入れる
長時間の座り作業やゲームは、1時間ごとに5~10分程度の休憩を取り、軽いストレッチを行うようにしましょう。休憩時間には、首や肩を回したり、窓の外を見て目を休めることも忘れないようにしましょう。
ストレートネックを改善する方法
すでにストレートネックが進行している場合でも、改善する方法があります。ここでは、自宅でできる簡単なエクササイズをいくつかご紹介します。
- チンタックエクササイズ(あご引き運動)
壁に背中をつけ、あごを軽く引いて首を伸ばすような動きを行います。この動作を1回10秒間、1日3セット程度繰り返します。このエクササイズは首周りの筋肉を鍛え、ストレートネックの改善に効果的です。 - 首周りのストレッチ
首を左右にゆっくり倒したり、後ろに伸ばしたりして筋肉をほぐしましょう。無理に強く引っ張らず、痛みを感じない範囲で行います。特に、お風呂上がりなど筋肉が温まっているときに行うと効果的です。 - 肩甲骨を動かすエクササイズ
両肩をゆっくり回すことで、肩甲骨周りの筋肉をほぐします。肩の緊張が取れると、首への負担も軽減します。また、肩甲骨を引き寄せるような運動を取り入れると、姿勢全体が改善されやすくなります。
西村猛の著書「子どもの姿勢 ピン!ポーズ」は、ストレートネックの改善にも効果的なポーズをたくさん収録しています。ぜひ親子で色々なポーズを楽しみながら、ストレートネックの改善を図ってくださいね。
日常生活の改善でできること
家庭内の環境を見直すことも、ストレートネックの改善に役立ちます。
- デスク周りの調整
椅子や机の高さを子どもの身長に合わせて調整し、姿勢をサポートするクッションを活用します。また、学習机の配置を窓際に置くことで、自然光が入る環境を整えると、目の疲れを軽減できます。 - リュックの重量を軽くする
学校に持っていく荷物の量を見直し、肩や首に負担をかけないようにしましょう。片側だけの肩掛けバッグよりも、両肩に均等に負荷がかかるリュックの方が良い選択です。またランドセルは、本体が軽いものを選ぶようにしましょう。
専門家への相談が必要な場合
自宅での対策を行っても改善が見られない場合や、痛みが続く場合は専門家への相談を検討しましょう。理学療法士や整形外科医は、ストレートネックの原因を詳しく評価し、個別に合った改善プランを提案してくれます。
- 理学療法士の指導
理学療法士は、ストレートネックの原因を特定し、子どもの状態に合わせた運動指導を行ってくれます。また、家庭での対策について具体的なアドバイスをしてくれるため、改善がスムーズに進むことが期待できます。 - 整形外科医の診断
レントゲンやMRIなどを用いた診断を通じて、骨や筋肉の状態を正確に診断してくれます。また必要に応じて、専門的な治療を受けることもできます。
まとめ
ストレートネックは、現代の生活習慣の中で子どもにも起こりやすい問題です。
しかし、日常のちょっとした工夫や習慣で予防・改善が可能です。
正しい知識を持って子どもの健康を守ることで、元気に過ごせる毎日をサポートしてあげましょう。
必要な場合は専門家の力を借りながら、無理のないペースで取り組んでみてくださいね。