
子どものランドセル、重すぎませんか?
こんにちは。理学療法士の西村猛です。
突然ですが、小学生のお子さんをお持ちの保護者の方。「ランドセルが重い…」と感じたことはありませんか?
毎朝、重たいランドセルを背負って登校する小学生。保護者の方がランドセルを持ってみると、その重さに驚くこともあるでしょう。最近では、ランドセルの重さが子どもの姿勢や健康に悪影響を与えるのではないかと心配する声も増えています。
セイバンが2018年に実施した調査によると、小学生のランドセルの重さは平均約6kgに達し、約3割の子どもがランドセルを背負うことで首や肩に痛みを感じていることが明らかになりました(出典)。
また、大正大学の白土健教授の調査では、最も重いもので11kgを超えるケースも報告されています(出典)。これは、子どもの体重の約15〜20%に相当し、大人に換算すると10kg以上の荷物を毎日背負っていることに匹敵します。
ランドセルの重さが引き起こす姿勢の悪化や健康への影響は深刻な問題です。
では、重いランドセルが子どもにどのような影響を与え、どのような対策ができるのかを詳しく見ていきましょう。
ランドセルが重すぎると何が問題?
猫背や前かがみの姿勢になりやすい
ランドセルが重いと、自然と前かがみの姿勢になってしまいます。これは、背筋や腹筋が十分に発達していない子どもにとって特に負担となります。
この姿勢が習慣化すると、猫背になりやすくなり、授業中や家庭での学習時にも悪い姿勢が定着してしまいます。
さらに、姿勢が悪いと呼吸が浅くなり、集中力の低下を招く可能性があります。
また、ランドセルの重さにより背中に余計な力がかかり、首や肩への負担も増大します。
その結果、背中の筋肉が緊張しやすくなり、肩こりや頭痛の原因となることもあります。特に長時間の通学でこの姿勢が続くと、習慣化してしまい、正しい姿勢を維持するのが難しくなります。
肩こり・腰痛など体への負担が増える
ランドセルの重みが肩や腰に継続的に負担をかけることで、肩こりや腰痛の原因になります。特にランドセルの片側に重さが偏っていると、体のバランスが崩れ、長期的には背骨の歪みを引き起こす可能性もあります。
子どもは自覚しにくいため、保護者の方が定期的にランドセルの中身や背負い方をチェックすることが重要です。
また、ランドセルの重さによって歩き方にも影響が出ることがあります。
背負うことで背中が引っ張られるため、歩幅が狭くなり、姿勢がさらに悪化し、結果として通学時の疲労増大、体力の低下にもつながることがあります。
通学が疲れやすくなり、学習意欲の低下につながる可能性
ランドセルの重さが原因で通学が負担になると、学校生活全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
疲労が蓄積されることで、授業中に集中力が続かなくなり、学習意欲が低下するリスクも懸念されます。
体の発達に影響を与えるリスク
成長期に悪い姿勢を続けることは、骨格の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に小学生の時期は、骨や筋肉が成長する重要な段階であり、この時期に持続的な負担をかけることは避けたほうがよいでしょう。
体の歪みが慢性化すると、スポーツのパフォーマンスにも影響を与える可能性があるため、できるだけ早い段階で姿勢改善の取り組みを始めることが大切です。
ランドセルの重さを軽減するための対策
ランドセルの重さによる影響を少しでも軽減するために、できる工夫はいくつかあります。持ち物を整理したり、正しい背負い方を意識したりすることで、子どもの体への負担を減らすことが可能です。
ここでは、具体的な方法を紹介します。
不要な荷物を減らす
教科書やノートのうち、使用頻度の低いものは学校に置く「置き勉」を活用する。
持ち物を定期的に見直し、不要なものを持たない習慣をつける。
軽量ランドセルを選ぶ
軽い素材のランドセルを選ぶ。
背負いやすい構造やクッション性の高いベルトを備えたものを選ぶ。
正しい背負い方を意識する
肩ベルトを正しく調整し、ランドセルが背中にフィットするようにする。
背負う位置を高めに設定し、重さを分散させる。
体幹を鍛える運動を取り入れる
姿勢を維持しやすくするために、簡単なストレッチや筋トレを行う。
バランスを取る力を養うために、片足立ちやジャンプなどの遊びを取り入れる。
学校と相談する
学校に相談して、置き勉や荷物の軽量化を話し合う。
まとめ
ランドセルの重さは避けられない問題ですが、適切な対策を講じることで子どもへの負担を軽減できます。家庭や学校での工夫次第で、健康的な成長をサポートすることが可能です。
不要な荷物を減らし、軽量なランドセルを選び、正しい背負い方を意識することで、姿勢の悪化や健康への影響を最小限に抑えましょう。