
スマホ時代の子どもの視覚と姿勢の関係
現代の子どもたちにとって、スマートフォンやタブレットは日常の一部になっています。
便利な反面、保護者の間では「姿勢が悪くなった」「目が悪くなった」という声が多く聞かれるようになりました。
この記事では、子どもの視覚と姿勢の関係に焦点を当て、発達におけるリスクとその対策についてわかりやすくお伝えします。
スマホ姿勢が視覚・平衡感覚に与える影響
スマホやタブレットを使用していると、うつむいたままの姿勢が長時間続くことになります。
これにより首は前方に傾き、猫背が習慣化します。
さらに「見る対象」が常に手元に固定されていることで、体を動かさずに目だけを使う習慣が強まります。
本来、子どもにとって大切な感覚は、触覚や関節の動きなどから得られる「体性感覚」と呼ばれるものです。
しかしスマホを多用することで、体を使わず視覚に依存する傾向が強まり、バランスをとるための感覚機能が十分に育たない可能性があります。
「視覚優位」の子どもが注意すべきポイント
幼児から学童期にかけては、視覚よりも体を通じて学ぶ体性感覚が土台になります。
ですがこの時期に「視覚優位」になりすぎると、身体の動きと連動しない「静的な見る力」だけが先行してしまいます。
例えば「前庭動眼反射」という機能があります。
これは頭が動いても、目が見ている対象を捉え続けられる能力で、小脳と深い関係があります。
小脳はおよそ7歳ごろまでに発達すると言われており、この時期に適切な視覚刺激を受けておくことはとても重要です。
しかしスマホのように静止した近い画面ばかりを見ていると、この反射機能が鍛えられにくくなるという問題があります。
視線誘導と姿勢誘導の関係
子どもの姿勢は「視線が向かう方向」によって大きく変わります。
下を見れば自然と背中が丸まり、首が前に出る「スマホ姿勢」が完成してしまいます。
逆に、目線を遠く・高く誘導することで、背中が起き、骨盤が立ちやすくなります。つまり、「どこを見るか」をコントロールすることは、「どう座るか」「どう立つか」へとつながる、間接的な姿勢アプローチになるのです。
視覚と姿勢のためのおすすめ遊び
視覚と身体の連動を育てるには、遊びがいちばん効果的です。
以下のような活動は、視覚と小脳、そして体幹バランスの発達に非常に有効です。
- ブランコ:揺れの中で視線を安定させる練習になります。
- 鬼ごっこ:動く相手を目で追い、体を連動させる遊びです。
- シャボン玉遊び:空中に浮かぶ対象を視覚で捉え、手で反応する全身協調運動です。
- トンネルくぐり・平均台:空間認知や前庭感覚を育てるのに最適です。
室内であれば、ジャンケン走りゲームやボールキャッチリレー、風船バレーなどもおすすめです。
まとめと家庭でできる工夫
スマホやタブレットの使用そのものが悪いわけではありません。
大切なのは「時間」「姿勢」「使用の仕方」です。
使い方をコントロールしつつ、日常の遊びの中で「動きながら見る」「遠くを見る」体験を意識的に取り入れていくことが、子どもの姿勢と感覚の健全な発達にとって非常に大切です。
まずは日々の遊びの中で「目と身体が一緒に動く」経験を増やしていきましょう。