姿勢保持に大事な腹筋は腹横筋

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ヒトの腹筋は腹直筋、腹斜筋、腹横筋の3種類があります。姿勢保持にはどの腹筋も大事ですが、特に大きく関係するのは、腹横筋です。腹直筋は床面に対して垂直に、腹斜筋は床面に対して斜めに筋の走行がありますので、それらの筋肉が収縮すると体幹を屈曲(前に曲げる)させる動きとなります。一方腹横筋は名前の通り、お腹の深部にあり横に、つまり床面に対して平行に筋の走行があります。主な働きは、腹圧を高めることです。このことから、腹圧を高め、良い姿勢を保持するためには腹横筋を強くする必要があるといえます。

ところが、よく「子どもの姿勢を良くするためにお腹の筋肉(腹筋)を鍛えましょう!」と紹介されることが多いですね。お腹の筋肉といえば一般の方は「腹直筋」をイメージします。そのため「いわゆる腹筋運動をして腹直筋を鍛えると姿勢が良くなる」と勘違いされている方が多いようです。
以前の記事でも書きましたが、腹直筋が強くなったからといって、姿勢がよくなることはありません。おそらく一時的に体をシャキッとさせることは可能になりますが、それを保持することは難しいでしょう。なぜなら姿勢保持には、腹横筋の活動による腹圧とそれを維持し続けるための脳(小脳)の活動が必要だからです。

では腹横筋を鍛えるには、どんなトレーニングをさせるのがよいのでしょうか。
もちろん単独で腹横筋を鍛える方法はありますが、幼児期にそんなに個別筋を鍛える運動は必要ありません。

子どもと姿勢研究会では、「昔ながらの遊びで体と脳を鍛え、また姿勢を良くしよう!」という提案をしています。
その観点から腹横筋を鍛えるのによい遊びをいくつか挙げてみます。
■かくれんぼ→「も~いい~かい~」、「ま~だだよ~」と大声を出すことが腹横筋を刺激する。
■ドッジボール→力強くボールを投げる時に腹横筋が働いて、体幹を固定する。
■だるまさんがころんだ→動かないように体を固定することが腹横筋を刺激する。

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いずれも腹横筋(だけではないですが)を鍛えるのに効果的な遊びです。もちろんこれら以外にも腹横筋を刺激する遊びは沢山ありますよ。
特に幼児期には、腹筋運動などの単純運動による筋力トレーニングはあまり効果的でないと言えるでしょう。なぜなら、遊びの中で筋力を鍛えることは、同時に脳の発達も促すことができるからです。
そこが大人と子どもの鍛え方の違いなのです。
繰り返しますが、大人の筋トレ方法をそのまま子どもに応用しても、効果がないということを覚えておいてくださいね。

子どもは遊びの中で体と脳を成長させていくのです。