「子供の怪我は一つの経験」に潜む罠

子供の怪我。治りは早いが将来問題が起こるリスクも…

2015_11_25

組体操事故に限らず、学校などでの子供の怪我というとどんな怪我を思い浮かべますか?
おそらく大多数の方が骨折をイメージすると思います。

子供たちは骨折しても治りも早く、また後遺症も少ないと思いますよね。

確かにその通りです。高齢者の骨折に比べて子供の骨折は本当に治りが早い。痛みやしびれなどの後遺症を訴えることも少ない。

しかし!

実はここに落とし穴があるのです。
それは、今はすっかり治ったように見えていても、将来大人になってから後遺症が出てくる場合がある、というリスクです。

例えば膝の骨を折った→ギプス固定をして治った→膝の動きが骨折をする前と比べてわずかに悪くなった(でも気付かない程度)→生活をしていく中で少しずつ負担がかかる→随分時間が経ってから(大人になった頃に)、そこに痛みなどの症状が出てきた→でもそれが子供の頃に骨折したことと関係あるとは思いもよらない→よく分からないまま膝の痛みを抱えながら生活することになってしまった、というような状況などがあります。
また、ひどい捻挫なども足首の靭帯が伸びてしまったり切れてしまったりした場合には後に膝痛や腰痛が出てしまうこともあります。

「怪我も一つの経験」は正しい?

「まさかそんな時間を置いて症状がでるなんてないよ」と思うかもしれません。
しかし実は怪我(骨折)が治った時点で、将来的に問題が起こるリスクのある歩き方や体の使い方になってしまっていることもあるのです。
しかしそれが気付かれることがないまま病院で「はい、これで骨折は綺麗に治りましたよ」と言われると、「完治した」と思ってしまいがちなのです。

子供の怪我は(大人でも同じですが)、そういった問題に気付かれないままになってしまうところに問題が潜んでいます。「怪我も一つの経験」と語る人もいますが、それは怪我が治れば完治した、と捉えているから安易にそう語ってしまうのです(擦り傷や軽い打撲など将来に問題を残さない怪我ならそれもいい経験だと思いますが)。

もし将来その子供に痛みが出たとしても、誰も責任をとることがありません。そもそも昔の怪我と今の痛みの因果関係を説明することが難しいですからね。

怪我なんてしないほうがいい

将来に痛みや障害が生じるリスクのある怪我なんてしないに越したことはありません。
自分が好きで取り組んで怪我をしたのなら、それを受け入れる覚悟もできるでしょうが、強制的に取り組まされた結果なら…。
もちろん怪我をしたすべての人に痛みや障害が出るわけではありませんが、出ないという保証もありません。

何度も言いますが、怪我なんてしないに越したことはないのです。
将来子供が辛い思いをしなくてすむように、できるだけ怪我を予防してあげる。これも大切な大人の役割だと思います。
怪我のあと時間が経ってから後遺症が出てくる場合もある、という事実をぜひ知っておいていただきたいと思います。