発達障害児の「体力の問題」は意外に見落とされがちです。例えばADHDのお子さんは、脳の中が忙しいので「脳が疲れる→脳を休めるため頻回な休息が必要」です。それと同じように低緊張のお子さんなどでは、「持久力が育ちにくい」傾向があるので、「活動の中で持久力(体力)を育てる」ことが大切です。 https://t.co/QCRhElJX6j
— 西村 猛@社長理学療法士×療育系YouTuber&voicyパーソナリティ (@seinosuke2013) May 17, 2019
発達障害のあるお子さんの「持久力」の課題
発達障害というと、コミュニケーション面や言語面での課題などが、クローズアップされがちです。
しかし、体力(持久力)の課題は、意外と見過ごされがちです。
一般論として、発達障害のあるお子さんは、「筋肉の張り」が弱い「低緊張」という現象が良く見られます。
これは、「筋力が弱い」ということではなく、筋肉の張り具合が弱い(筋肉をゴム紐に例えると、張りが弱く弛んでいる状態)ということです。
そのため、体幹筋などに持久力を求められるような活動、例えば「長時間椅子に座る」「姿勢を正して字を書く」など、に苦手さがあります。
その結果、持久力が育ちにくい→持久力を求められる運動がさらに苦手になる、という負のループに陥ってしまいがちです。
筋肉の張りは、脳からの司令でコントロールされている
気になるのは、「筋肉の張りを運動で改善することができるか」ということだと思います。
結論から言うと、筋肉の張り具合は、脳からの司令によりコントロールされているため「筋トレをしたから張りが強くなる」というものではありません。
まさに、「その子の特性」「その人の個性」と言えるものであり、根性でどうにかするようなものではありません。
しかし、張りが弱い(低緊張)だから、どんな運動をしても意味がないというわけではありません。
幼児期や小学生の時期に、成人に向けてできるだけ身体能力を高めておくことは大切です。
大事なのは、運動の選択方法と取り組ませ方
運動を行うことは、どんな子どもにも大切なことです。
筋肉の張りが弱いお子さん(低緊張のお子さん)の場合、疲労しやすい傾向にあるため、運動の取り組ませ方に注意が必要です。
以下の点に留意するようにしましょう。
- 疲労を考慮し、運動の間に十分な休息を入れる
- 「短時間・高負荷」な運動は避け、「長時間・低負荷」の運動を選択する
- 本人が楽しいと思える運動を選択する
つまり、本人の負担が少ない運動方法を選択し、楽しみながら活動できるということを第一主眼に置くことで、体力・持久力の向上を図るのが良いでしょう。
一つの例として、公園の遊具を一通り使う、という遊びは、体の色々な部分をバランスよく使いつつ、持久力も向上させる効果があります。
乳幼児は遊びの中で体作りをさせよう。公園遊びや伝承遊びは、体の発達に効果的です
まとめ
- 発達障害のあるお子さんの体力面での課題(低緊張・持久力の弱さ)は見過ごされがちです。
- 低緊張の状態は、脳でコントロールされているので、「激しいトレーニング」を行うことは効果的ではありません。
- 疲労を考慮する、低負荷の運動を長く続ける、楽しみながら行える運動を選択する、が最も適切なトレーニング方法です。