漠然と腹筋運動をしても、姿勢は良くならない

ただ単に筋トレをするのがいいわけではない理由

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検索サイト経由で子どもと姿勢研究会のサイトへお越しになる方が多くおられます。
アクセス解析をすると、色々な検索ワードがあります。
その中でも特に多いのが、「子ども,体幹」や「姿勢,体幹を鍛える」など「体幹」という検索ワードです。
たしかに姿勢を良くするために、体幹筋の活動は重要な要素になると思います。しかしここで注意点があります。

それは、「とにかく体幹筋を鍛えれば姿勢が良くなる、というものではない」ということです。
もっと端的に書くと、「体幹筋が強いだけでは問題は解決しない」ということです。
具体的には、「どう良い姿勢の意識づけをするか」、あるいは「どれだけ良い姿勢を無意識化できるか」など体幹筋(に限りませんが)と脳との関係を考えることが重要です。

つまり、「良い姿勢の保持=ベースである体幹を始めとする筋力+姿勢をコントロールする脳の働き」です。

脳の意識づけを同時に刺激として入れていく、あるいは無意識化させるためには日常の中で良い姿勢の意識づけを行うようにしていく努力が必要です。

原因や課題は人それぞれ

もう一つ姿勢を考えるときに留意しておくべきことがあります。
それは、「人によって原因や課題はそれぞれ違う」ということです。

一例をお話します。
「リハビリ室でできても、家でできなければ意味がない」とはリハビリテーション(理学療法)の場面でよく言われる言葉です。

例えば「歩行」という動作一つとってみても、人によって歩く状況(階段の有無や手すりの有る無し、坂があるかないかなど)が違います。リハビリ室で歩けたからといって、それが退院後に果たして役立つのかどうかは分からないということです。
ですから理学療法士は、単に「歩行練習」をしてもらうのではなく、その人の退院後の状況や家庭環境を評価した上で、その人オリジナルの歩行の目標設定をし、生活を見据えたプログラムを立てます。そのプログラムは画一的なものではありません。

子ども(大人も)の姿勢も同じことが言え、実際の日常の場面の中から問題点を見つけ出し、姿勢をよくする取り組みをしていくことが大事だということになります。
なぜなら、人が違えば、姿勢が悪い(あるいは良くならない)理由もそれぞれ違うため、その人に合った筋力強化や姿勢改善のための取り組みを個々に考える必要があるからです。
そのためには生活の中で「なぜ姿勢が悪くなるのか」という原因を見つけていくことが大切です。あきらかに悪い姿勢でゲームばかりしている子どもさんと、運動も適度にしているのに姿勢が悪いという子どもさんでは問題点や課題が違ってきて当然です。

また筋力強化も単純な腹筋運動などのトレーニングを行うのではなく、日常生活の中で筋力を強化する方法を考える必要があります。

課題に対して日常の中で取り組みをしましょう

まとめると次のようなことが言えます。

・「良い姿勢を獲得するために、体幹筋は重要」であることは間違いありません。

・しかし、「良くない姿勢を取っている」原因は体幹筋以外にもいろいろとあるため、まずはその原因を見つけることが大切です。

・もし体幹筋の弱さが原因だった場合でも、さらに一段掘り下げて、「日常生活の中で体幹筋を弱くしてしまっている要因は何か?」を考える必要があります。

・その要因が見つかればそれに対しての対策を講じていくことになります。

・体幹筋を鍛える必要性があった場合でも、単なるトレーニングに終始するだけでは根本的な解決になりません。日常の中で取り組むことができ、また日常の中で意識づけを行っていくことが大切と言えます。

漠然と筋トレをするのではなく、その目的に応じた運動方法を選択し、かつ日常生活の中で筋力を鍛えていくようにしましょう。
手っ取り早くかつ苦痛を感じずに筋力を強化する方法は、子どもさんなら昔ながらの外遊びを、大人の方なら家事動作を工夫することです。
その具体例などについては、追々別エントリーで書いていきたいと思います。