良い姿勢の獲得のために、言ってはいけないことば

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根性は何も効果を生まない

子どもさんの姿勢を良くしたい!とか、自分で気をつけさせたい!などの時、つい言ってしまいがちですが、絶対に言ってはいけない言葉があります。
それは、「やる気があればできる!」という言葉です。

これを換言すれば、「できないのはやる気が無いから!」ということになってしまいます。
そもそも姿勢を良くするという課題を遂行するのに「やる気」はあまり必要ありません。
良い姿勢を無意識化させるために、ある時期「良い姿勢を意識する」ことは必要ですが、これはやる気というものとは少し意味が違いますね。

日本では「努力すれば報われる」という結果よりもプロセスを求める価値観が根強い人気ですが、努力=やる気(根性)と捉えられてしまうところに問題があります。こと体のことに関しては。

リハビリテーション(リハビリ)の世界でも、「辛くて苦しいリハビリに取り組んで良くなった」と聞くと「よかったなあ」と感動するのですが、「楽しくて、笑いながらリハビリに取り組んで、知らない間に良くなった」と聞くと、真面目に取り組んだのか?と思われてしまうような風潮があります。

姿勢を良くするのは「根性」ではなく、「意識づけと無意識化」

姿勢についても、楽しく学んで楽しく取り組んで、気がついたら姿勢が良くなっていた、というのが理想的な進め方です。
毎日、少しずつ良い姿勢になるように心がけることはとても大事なことですが、とにかく根性で良くなるようなものではないということですね。

例えば椅子に座る姿勢で注意するべきポイントを見てみましょう。

1.まずは良い姿勢がどういうものかを体験する。
2.普段の自分の姿勢をとってみて、良い姿勢との違いを認識する。
3.良い座位姿勢のポイントに則って、自分で修正する。そしてそれを保持するように意識する。
4.意識が継続できずに、また同じ姿勢に戻ってしまう時は、第三者(子どもさんの場合は親や先生などの大人)が「崩れて来たよ。自分で修正して」と教えてあげる。
5.ある程度の時間良い姿勢を継続することができれば、悪い姿勢(いつもの姿勢)と良い姿勢ではどう違うか、どちらが楽かを話し合う。

こういう取り組みを普段から当たり前のこととして取り組んでいきましょう。
特に大事なのは、良い姿勢と今までの姿勢の違いを自分自身で認識することです。この認識作業がないと、良い姿勢で座ることの良さが分からないままです。逆に言えば、違いが分かることが気付きの第一歩になり、やがてそれが最終的に良い姿勢の獲得につながるのです。

 

さて、こうやってみてみると、どうですか?1~5の中で根性を必要とする部分はありませんね?
良い姿勢の獲得にはある程度時間が必要です。
その間ずっと根性を出し続けるのは無理があると思いませんか?

それが証拠に、例えば学校で先生が「背筋をシャンと伸ばして良い姿勢で座りましょう!」と声を掛けるとみんないい座り方になります。しかし授業中ずっとその姿勢を維持できている子はおそらく一人もいないでしょう。なぜなら良い姿勢を取るための意識づけとその先の無意識化ができていないからです。

意識づけや無意識化のためには、楽しく取り組める環境が大切

子どもに限らず、そう楽しくないことを毎日繰り返し続けるのは苦痛です。良い姿勢の獲得も楽しい取り組みであれば「やってみようかな」と思えるでしょうが、「しんどい、ツライ」ような取り組みは誰だってイヤです(私だってもちろんイヤです)。ゲーム感覚や遊び半分で取り組めたほうが楽しく良い姿勢を学習できるに決まっています。

例えば、家族で夕飯を食べているときに親子で「どちらが最後まで背筋を伸ばした姿勢でいられるか」を競争したり、良い座位姿勢を保つには、どこに力を入れるのが効果的かを考えたりと楽しみながら取り組める環境を設定してみてはどうでしょう。

「やる気があればできるはず」と子どものやる気に任せてしまわず、大人が楽しい環境を設定してあげることを心がけてみてはいかがでしょうか。
それが最終的には子どもの良い姿勢の獲得につながるのですから。

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