- 姿勢は「力を持った体の構え」という意味がある。力を上手く使えるかどうかは、姿勢に大きく関係する。
- 「良い姿勢=背すじがしっかり伸びた姿勢」
- 背すじがしっかり伸びた姿勢のためには、体幹の筋力と柔軟性がポイントになる。
姿勢という言葉の意味
姿勢にはからだの構えという意味と、心の構え(心構え)という意味があります。
つまり良い姿勢をとるということは、心構えもよくなる、ということです。
姿勢を分割してみると、「姿」と「勢」となります。「姿」はいうまでもなく、「身体の格好、身なり」などの意味ですね。では「勢」とはなんでしょう。「いきおい」は文字通りですが、それ以外に「力(ちから)」の意味もあるそうです。
そこから考えるに、「姿勢」とは、「力を持ったからだの構え」もしくは「力を入れてからだを構えること」ということになります。つまり、姿勢をとるということは力が必要なのですね。
良い姿勢と悪い姿勢では、「力が使えている、使えていない」、「使っている力(筋肉)が正しい、違う」、もしくは「力が上手く使える、使えない」によって違ってくると言えます。
良い姿勢と悪い姿勢
質問です。次の姿勢は良い姿勢でしょうか。悪い姿勢でしょうか。
・椅子にだらっとして座っている。
・ソファーにぐったりしたように寄りかかって座っている。
・頭がぐらぐらして立っている。
いかがでしょうか?
お分かりですね。これらは全部悪い姿勢の表現です。
では、実際にこの姿勢を見ているわけではないのになぜ「悪い姿勢」だと判断できたのでしょう。
それは「だらっと」、「ぐったり」、「ぐらぐら」という言葉からですね。
これらの言葉を読めば、実際の場面を見なくても悪い姿勢だと気づきます。
では、良い姿勢とはどういう表現になるでしょう。
・背筋を伸ばして椅子に座っている。
・ソファーにもたれず、体をまっすぐに起こして座っている。
・背中をしゃんと伸ばして立っている。
こんな感じになります。
さあ、お気づきでしょうか。よい姿勢の表現で共通していること。それは、、、
「背中がしっかり伸びている」ということです。
普段私たちがいい姿勢と感じるのは、背中が伸びた(専門的には体幹が伸展しているといいます)姿勢の時なのです。
「うちの子供は姿勢が悪くて。。。」という時には、子どもさんの背中が曲がっているイメージではないですか?
このように良い姿勢と悪い姿勢の違いは、背中がしっかり伸びているかどうか、がポイントになります。
背中がしっかり伸びた姿勢を取るために
では、背中がしっかり伸びた良い姿勢をとるために大事なことは何かを考えていきましょう。
それは、「背中(体幹)をしっかり伸展させる(もしくはさせ続ける)力と、柔軟性」が大切なのです。
体幹をしっかりと伸展させるには、次のような筋肉の活動が必要です。
・脊柱起立筋:いわゆる背すじの筋肉です。この筋肉が働くことで背骨(脊柱)が伸びます。
・腹筋群(腹直筋、腹斜筋、腹横筋):これらの腹筋は姿勢保持においては、腹腔内圧を高めるために働きます。
さて、もうひとつ背中が伸びた良い姿勢には、筋肉以外に体幹や脊柱の柔軟性も重要です。
これは脊柱の可動性が関係します。
背骨がよく動くということです。
体幹は曲がる(屈曲)、伸ばす(伸展)、横に曲げる(側屈)、ねじる(回旋)という動きがありますが、脊柱全体の動きが硬い(関節が硬い)と十分な動きが得られません。
背中が曲がったまま日常過ごしている子どもさんはこの脊柱の伸展性が悪くなっていることが考えられます。
それを簡単に見分けるには、背中反らしをしてみてください。
背中が反らないもしくは見ているだけで硬そうな場合は、脊柱の伸展性が低下しているおそれがあります。
このように姿勢とは、しっかりと筋肉を活動させて体を構えることであり、良い姿勢とは体幹をしっかりと伸展させた姿勢のことを言います。
また良い姿勢は次の活動につながる姿勢でもあるのです。
体が安定していると手や足を使いやすいですね。
体幹がしっかりと固定されてこそ腕や足がうまく使えるのです。
子どもに良い姿勢を覚えてもらうには、まずは体幹をしっかり活動させることを学習していく必要があります。
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