- 子供に必要なのは、筋トレではなく、外遊び。
- 特定の遊びをするよりも、色々な遊びをするほうが「体をバランスよく発達させること」につながる。
- 幼児に特定のスポーツをさせることは問題が多い。
- スポーツよりも自由な外遊びで体の基礎を作ることが大切。
遊びの中で筋力を強くする
筋力を強くするために大人は筋トレを行います。あるいはスポーツを積極的に行います。
幼児期の子どもに必要なのは、筋トレではなく、スポーツでもなく、外遊びです。
外遊びをしているだけで、体の筋力が平均的に成長します。
逆に言うと体の筋力を平均して発達させたい場合、色々な遊びをすることが必要といえます。
特定の遊びばかりしていると、その遊びにおいて効果的な部分ばかりが強化されることになりますので注意が必要です。
例えば、けん玉遊びは上肢の筋力や巧緻性(細かな動きをコントロールする能力)は発達しますが、下肢の力(脚力)においてはあまり効果的ではありません。
缶蹴りは下肢の筋力の強化に有効ですが、上肢の運動にはつながりません。
このように遊びの種類によって強くできる筋肉はバラバラです(体幹筋力については、たいていの遊びで効果的でありますが)。
そういうことから、幼児期にいろいろな遊びをすることは、「平均的に体の筋力を強くしていく」うえで重要なのです。
筋力強化をするなら、スポーツが効果的なのでは?という疑問もあるかと思いますが、それについては下の項目に書いていますのでお読み下さい。
遊び中でバランス能力を高める
例えばジャングルジムに登るという遊びの中には、筋力を強化する効果があると同時に体のバランス能力を高める効果もあります。
ちょっとジャングルジムに登っていたことを思い出してみてください。
腕で体を引き上げると同時に足を蹴って、体を上に押し上げていますね。
まっすぐ上に上がる時はそれほどでもないですが、斜めに上がって行く時を想像してみてください。
体の重心が足から外に移動しますね。
つまりまっすぐ上がっていく時より不安定な状態になっていると思います。
この時に体幹筋を使いながら、また腕や足で上手く重心が崩れないようにバランスを保ちつつ上がっていきます。
このように大きな重心移動を伴う遊びはバランス能力の向上に一役買っていると言えます。
逆に重心移動を伴わない遊び(先ほどのけん玉遊びや登り棒など)ではバランス能力はあまり養われません。
バランス能力の向上においても、やはり色々な遊びをすることが大事なんですね。
幼児期のスポーツはデメリットが多い
一般的に「体を作る」、「体を強くする」というと、「何かスポーツでもさせればいい?」と考えがちですが、実は幼児期に特定のスポーツをさせることは、デメリットが多いので注意が必要です。
その理由は、体の基礎発達が十分でない幼児にとって、体の限られた部分を酷使することは問題があるからです。
例えば野球では肩関節や肘関節の痛みなどを生じる恐れがありますし、サッカーでは膝や足首を痛める危険性があります。
幼児期は色々な遊びを通して体作りを行う時期であり、スポーツを行うにはまだ早く、始めるなら小学生以降(できれば高学年)がよいと思われます。
体の基礎作りを行うべき幼児期にスポーツを積極的にさせても、技術的にも上達することは期待できにくいでしょう。
それよりも幼児期には自由な遊びをしっかりと経験させ、体の基礎を作っておくほうが、後々スポーツの技術向上にもよい効果があるといえます。
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