小脳と体幹を鍛えよう

このページのまとめ
  • 小脳は体の使い方などにおいて重要な役割を担うが、およそ7歳頃に完成すると言われている。
  • 積極的に外遊びをすることで、小脳を鍛えることができる。
  • 体幹機能は遊びの中で、子供が無意識にその使い方を学び取っていくことが大切。
  • 失敗を経験することで、小脳が成長していく

小脳は遊びの中で鍛えよう

d6d71315c2a0d6f65bf620e39bbcd24a_s

「姿勢に関係する小脳の発達」のページで書きましたが、小脳機能が発達するのは7歳頃までです。

それ以降は機能的な発達はしないと言われています。

つまり7歳以降はそれまでに形成された小脳機能で一生を過ごしていくことになるのです。

だからといって、スポーツの技術や活動の基本を学ぶのに、7歳以降では意味がないということではありません。

スポーツのテクニックは繰り返し練習することで、今より上達させることは可能です。

しかしそれは7歳までに完成した小脳機能をその範囲内で使っていることにほかなりません。

例えばコップのサイズが大きければ大きいほどたくさんの水を入れることができますが、半分のサイズでは水の量も半分しか入りません。

それと同じで小脳の許容量が違えば、同じ練習をしてもその効果に差がでます

つまり同じように練習をしても技術に差がでるというのは、小脳機能の差である、ともいえます。

小さいうちからスポーツをしている子が必ずしも優秀なスポーツ選手になっているとは限りませんね。

中学校から野球をはじめて、そのままプロ選手になることもよくあります。

そういう選手を見て、「もともと才能があったんだよ」といってしまいがちですが、もしかしたらそれには小脳機能が関係しているのかも知れません。

いずれにしても、7歳までにしっかりと小脳機能を発達させてあげましょう。

そのためはこれまでお話してきたように、積極的に外遊びをさせてあげましょう。

体幹機能は遊びの中で鍛えよう

2015.11.28 (6)

良い姿勢のためには体幹がしっかり働くことが大事だと書いてきました。

また昔ながらの遊びは体幹機能を発達させるのに、とても効果が髙いということもお話しました。

さあ、あとは子どもをのびのびと遊ばせてあげましょう。

ゲーム姿勢は体幹機能を悪化させることはあっても、鍛えることには全く効果がありません。

いくらゲーム姿勢に気をつけても、いい姿勢でゲームをしても体幹機能は全く成長しません。

大人がよくやる腹筋運動も子どもにとっては、効果的とはいえません

なぜなら仮に腹筋が強化されてもその強くなった腹筋を姿勢の中でどう使うのかが子どもには理解できていないからです。

そこが大人の体幹筋を鍛えることとの違いです。

遊びの中で体幹を鍛える際、子どもはそれを意識はしていません。

遊びに夢中になりながら、無意識に筋力を強くし、また無意識に効率的な使い方を学習していきます。

実はここが重要なポイントなのです。

子ども自身は無意識ですが、大脳と小脳は一所懸命学習しています。

体幹機能の発達は、子どもの無意識の遊びの中から、無意識に学習されていきます。

大人が使い方を教えるのではなく、子ども自ら学び取っていくことが大切です。

どんどん失敗させてあげよう

e6bcd8952704c7a9c9180af0315bff44_s

私もそうですが、大人は(特に親は)つい「できるだけ失敗せず、うまく出来る方法を教えてやりたい」と思うものです。

自分の反省も含めて書きますが、「失敗せずに成長する子どもはいない」ということをもう一度考えたいと思います。

初めからうまくいく方法を知りたいと思うのは、大人のほうであって子どもは決してそんなことを考えているわけではありません。

何度も書いていますが、小脳機能を発達させ、うまく出来るようになるには、絶対に失敗する経験が必要です。

失敗は成功の母とはよく言ったものですが、私はこれを「何事も諦めるな」という戒めと捉えず、「失敗を繰り返しているのは、うまくいく方法を脳が模索しているからだ」と思っています。

赤ちゃんが歩くことを覚えていくのも、歩く→転ぶ、また歩く→また転ぶの繰り返しから始まります。

失敗を繰り返しているうちに転ぶことが少なくなった→やがて全然転ばずに歩くことができるようになった、というように変化します。

この時の赤ちゃんの小脳はおそらくフル回転なのでしょう。

幼児期も赤ちゃんが歩くのと同じように失敗を繰り返しながら経験を積み重ねる大事な時期です。

大怪我につながる動作は止める必要があるでしょうが、基本的には子どもの主体性に任せ、何事も経験させてあげるほうがいいでしょう。

幸い子どもは痛みに対する閾値は低いですから、失敗することに大人ほど恐怖感は感じません。

子どもさんが無邪気に遊んでいる様子をみて、「ああ、今まさに小脳をいっぱい使いながら遊んでいるんだなあ」と感じてみてください。

走っていて転んでも「あ、今また小脳が学習したな?」と思ってあげましょう。

失敗すればするほど、子どもは成長していくのです。

暖かく、そして大らかな目で見守ってあげてください。