- 体幹=胴体。体の幹になるもの。
- 体幹が安定することで、手足を上手く使うことができる。
- まっすぐに座れない子供は、体幹が十分に働いていないかも知れない。
- 体幹を発達させるには、「使い方」を学習していく必要がある
姿勢を安定させるために特に重要な役割を持つ「体幹」ですが、この体幹の働きと重要性について考えていきます。
体幹とは
体幹とは、いわゆる胴体の部分を指します。
体のうち手足と、頭を除いた部分の名称で、骨盤、脊柱(背骨)、肋骨などから構成されます。
体幹を構成する筋肉は腹筋、背筋など姿勢に関係するものが多くあり、これらの筋肉がしっかり働いてくれないと、良い姿勢はとれません。
体幹の安定と四肢の動き
四肢とは左右の腕(上肢)、足(下肢)のことを指します。
ヒトは手足を使って活動をしますが、手足(四肢)がしっかりと活動するためには、体の中心で幹である体幹が安定していることが必要です。
樹でも同じですが、中心(中枢と言います)にある幹がしっかりとしてはじめて末端(末梢と言います)の枝葉がゆらゆらと揺らぐことができます。
ヒトも中枢である体幹がしっかり固定されてはじめて末梢である手足がしっかりと動かせます。
逆に体幹が安定せずグラグラしていると手足の動き、特に手先を上手く使いこなすことができません。
このように体幹は四肢がのびのびと動くために重要な役割を担っており、さらには手先の器用さにも責任を果たしているといえます。
姿勢保持における体幹の役割
では、姿勢と体幹の関係について見てましよう。
- 体幹は体の中心にあり、文字通り体の幹となるものである。
- 姿勢をよくするためにはまず体幹が安定していることが前提となる。
- 末節(四肢)をうまく動かすためには、まずは幹である体幹がしっかりと働かないといけない。
このように体幹は姿勢保持においてとても重要な役割であるといえます。
ところで、子どもの姿勢について、こんな現象を目にしませんか?
- 椅子にしっかり座れずに時間とともに体が崩れたり、ずれたりする。
- 背中がぐにゃぐにゃしていわゆる背筋ピン!の状態が作れない。または長い時間保持できない。
- 机に肘をつき、あごを乗せたり腕に寄りかかったりして座っている。
- 紙に字や絵を書いているときに体が傾いている。
- 座っていて「疲れた」や「しんどい」という訴えが多い。
このような状況が見られる場合、それは体幹の発達が不十分なことが原因と考えられます。
ちなみにその原因は単に「体幹の筋力が弱いから」というだけではありません。
姿勢の保持には体幹の筋力、持久力が大きく関係することは事実ですが、それ以外にも姿勢保持にとって重要な要因があります。
それは、「運動の学習効果」です。
体幹における運動の学習効果とは
「姿勢とは何か」のページで書いたように、姿勢保持には十分な体幹筋力と持久力が必要です。
しかしそれだけでは良い姿勢の保持は難しいのです。
つまり「姿勢が悪い→体幹筋を鍛えればよい」という簡単な構図ではなく、「体幹筋の使い方」を学習していく必要があるのです。
高価なカメラを持っていても使い方を知らなければ無用の長物になりますよね。
それと同じです。
パワフルであっても使い方を知らないとせっかく鍛えた筋肉も宝の持ち腐れということになりかねません。
その運動の学習を行っているのは小脳だと言われています。
もともと小脳の機能は、体の平衡感覚を司る、姿勢や動作の制御を行う、といったことが主な機能と考えられていました。
しかし最近の知見では小脳には大脳のメモリー機能があることが分かってきたのです。
大脳で学習したことを小脳という引き出しにしまっておくのです。
それは「学習を繰り返すことで次第にうまくなる」、「何度も繰り返すことで、無意識にできるようになる」ということとも関係します。
体幹がしっかりと働くことが良い姿勢の保持には必須条件となりますが、それには「繰り返し良い姿勢を学習することで、体幹がしっかり働くことを無意識に覚えていく(体で覚える)」ことが必要です。
それができてはじめて「無意識に良い姿勢を保持することができるようになる」ということになります。
このように良い姿勢がとれるようになるには、体幹機能の発達とともに小脳による姿勢の学習効果が大切です。
なお小脳が関係する姿勢についての考察は「姿勢に関係する小脳の発達」のページで詳しく書いていますのでご覧ください。
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