「だるまさんがころんだ」の効果とは?遊びながら体幹・バランス・反応力が鍛えられる理由

昔ながらの遊び「だるまさんがころんだ」。この遊びには、実は体の発達にとって非常に大きなメリットがあります。

その効果とはズバリ、

  1. 体幹筋が強くなる
  2. バランス能力が向上する
  3. 筋肉をタイミングよく働かせる能力が上達する
  4. 聴覚・視覚・固有覚の統合を促す

これらについて一つずつ解説していきます。

体幹筋が強くなる

鬼が背中を向けて「だるまさんがころんだ」と唱え、振り返る瞬間に、子どもたちは動きをピタッと止めます。

この「動きを止める」状態こそが、体幹筋の活動を引き出すポイントです。

姿勢を止める動作が体幹を鍛える

姿勢を保持するには、体幹の安定が不可欠です。何度も「動く→止まる」を繰り返す中で、自然と体幹筋の力が養われていきます。

腹横筋や腹斜筋といった深層の腹筋も無意識に使われるため、非常に実用的な筋力が育まれます。

バランス能力が向上する

鬼が振り返る瞬間に、子どもたちはその時の体勢のまま静止しなければなりません。

この姿勢が時に不安定であっても、体を崩さず維持することでバランス能力が鍛えられます。

不安定な姿勢を保つことがトレーニングに

走る途中、片足で踏みとどまる、前傾姿勢のまま止まるなど、日常ではあまり体験できない動作を繰り返すことで、バランス感覚のレベルが一段階アップします。

筋肉をタイミングよく働かせる能力が上達する

この遊びでは「動く→止まる→また動く」という一連の動作をタイミングよく繰り返す必要があります。

その中で、筋肉を瞬時に働かせたり、スッと脱力したりする能力が育ちます。

反応力と筋の切り替え能力が向上する

この“瞬間的な切り替え”こそが、転倒予防やスポーツ動作、日常動作に欠かせないスキルです。

まさに遊びの中で、運動神経を育てる格好のトレーニングになっています。

聴覚・視覚・固有覚を同時に育てる感覚統合の遊び

「だるまさんがころんだ」は、実は感覚統合の要素がとても詰まった遊びでもあります。

聴覚の発達:耳で合図を聞き分ける

鬼の「だるまさんがころんだ」の声が合図です。声のリズムや長さを聞き分け、次にいつ動き出せるかを判断する必要があります。

これは聴覚による注意力や予測力を高めるトレーニングになります。

視覚の発達:鬼の動きや表情を素早く読み取る

鬼が振り返った瞬間の表情や目線、体の向きを見ることで、動いても大丈夫かどうかを判断します。

この視覚的情報の読み取りと判断は、危険回避能力や空間認知力の向上にもつながります。

固有覚の発達:体の位置や動きを正確に感じる

走っている途中に急に止まり、体を静止させるには、「今、どこに力を入れたら体が安定するか?」を感じ取る必要があります。

これは関節や筋肉からの感覚(固有覚)を正しく受け取り、脳が適切に処理して体をコントロールする力につながります。

日常生活に役立つ実践的な筋活動が身につく

子どもの体づくりでは、特定の筋肉だけを使うより、複数の筋肉を協調して使うことのほうが、より実生活に直結します。

腹筋運動では得られない、複合的な筋活動

たとえば、寝た状態から起き上がる腹筋運動は、主に腹直筋しか使いません。

しかし「だるまさんがころんだ」では、動きを止める際に腹直筋、腹斜筋、腹横筋と複数の筋肉が自然と使われます。

この複雑な筋肉の協調こそが、「実際に姿勢を保つ力」につながります。

遊びながら姿勢をよくする基盤ができる

腹横筋は特に姿勢を安定させるのに重要な筋肉です。この筋肉が自然に働くことで、良い姿勢の保持がしやすくなります。

つまり、楽しく遊んでいるだけで、良い姿勢の基礎が作られていくというわけです。

まとめ:「だるまさんがころんだ」は体と感覚を育てる理想的な遊び

  • 体幹筋を育て、安定した姿勢を身につけられる
  • バランス能力と転倒予防力が高まる
  • 筋肉をタイミングよく使う能力が鍛えられる
  • 聴覚・視覚・固有覚を同時に育て、感覚統合が促される
  • 実生活で役立つ筋活動が遊びの中で自然と習得できる

昔ながらの遊びの中には、子どもの発達に必要な要素がたくさん詰まっています。

「だるまさんがころんだ」は、まさにその代表格。遊びの時間が、将来の“生きる力”につながる大切な経験となります。