- 外遊びをしなくなった、日常の姿勢が悪いことなどが原因で体幹筋が弱った子どもが増えている。
- 体幹筋が弱いままだと、大人になってから問題を引き起こすことがある。
- 悪い姿勢が習慣化することなどが原因で、柔軟性が低下した子どもが増えている。
- 柔軟性が低下したままだと時間の経過とともにますます姿勢が悪くなる。
まずは、体幹機能の低下について考えてみます。
体幹機能が低下する原因は
1.外遊びの機会が減ったことで、普段から体幹筋をあまり使わなくなってきた。
2.脊柱が屈曲した(背中が丸まった)姿勢で過ごすことが多いため、日常の中で体幹筋を使う機会が少ない。
3.良い姿勢をとる、という習慣がない、またソファなどに座る機会が多いことで、体幹筋を働かせる機会が少ない。
などが挙げられます。
体幹機能が低下したままだとどんな悪影響があるのか
身体機能面での問題が起こることは想像に難くないですが、それだけでなく良い姿勢を学習することができないままだと、大人になっても悪い姿勢は改善しないままとなる恐れがあります。
背中が丸まり、顎を突き出したような姿勢では外見的なイメージも悪くなり、例えば就職試験の面接などにおいても、それだけで不利になるでしょう。
「体幹の働きと重要性」のページで書いたように、体幹機能は姿勢だけでなく、手を上手く使うあるいは効率よく勉強を行うことにも関係しています。
例えばしっかり勉強するには、長い時間に渡って座ることと、集中力を持続することが大切です。
しかし体幹機能が低下し、安定した座位姿勢をとることができなければ、集中力は養えません。
そしてそれは学習力の低下につながるというわけです。
このように体幹機能の低下は姿勢の悪さの原因を引き起こし、さらには子どもが成人した後も問題を引き起こすことになります。
では次に柔軟性の低下について考えてみましょう。
柔軟性とは?
四肢・体幹筋力の低下に加え、姿勢に大きな影響を及ぼしているのが、柔軟性の低下の問題です。
柔軟性とは文字通りからだの柔らかさです。
例えば、体前屈で指先が床に届くかどうか、投げ出し座りをしてからだを前に倒した時、頭が膝に付くかどうか、などが柔軟性のテストです。
ヒトは生まれた時、つまり赤ちゃんの時は関節がグラグラするくらい柔らかい状態です。それが証拠に幼児がジャングルジムから落ちても、大怪我に至らずにすむこともあります。
大人なら確実に脊髄損傷になっているような場面でも、怪我一つしないこともあるくらいです。
それは関節が柔らかいからにほかなりません。
体が硬いから、骨に力が加わってしまい骨折する、靭帯に過剰な力が加わってしまい靭帯損傷を引き起こすなどの問題が起こるのです。
つまり、体に(関節に)柔軟性があれば、怪我の確率はずっと減るのです。
子どもたちの柔軟性が低下する原因は?
1.普段から遊びの中で、生活の中で体を使わないため、筋肉の柔軟性(柔らかさ)が低下してしまった。
2.悪い姿勢(例えば体幹の屈曲位)をとり続けていることで、関節が少しずつ硬くなっていってしまった。
3.椅子の生活、ベッドで就寝などの生活様式による原因(例えばこういう生活様式では腿の裏の筋肉『ハムストリングス』などは硬くなってしまいやすいのです)。
他にも考えられますが、何より一番の要因は1.の遊びの中などで体を使わないこと、が挙げられます。
2.の悪い姿勢を取り続けていることも大きな問題と思われがちですが、子どもは少々悪い姿勢をとっている時間が長くても、その他の時間に体を思いきり使った遊びをしていれば、柔軟性が低下するということは考えにくいのです。
1.と2.どちらも当てはまる場合は、早くに体が硬くなっていきやすい状態といえるでしょう。
柔軟性が低下したままだとどんな悪影響があるのか
一にも二にも「怪我をしやすい」ということです。
それも普通なら怪我をしないようなことでも大きな怪我をしてしまう、ということです。
例えば転んでしまった時も、体の各関節が柔らかいと、関節を上手く崩しながら体を崩していくことができます。
しかしその関節がうまく崩れてくれないと、関節部分で力を逃がすことができず、骨に転倒の際の力が直接加わってしまい、結果骨折してしまうことにもつながります。
もう一つの影響としては、関節が硬い→大きく体を動かすことが難しくなってくる→動かさない姿勢で(あるいは動かせる範囲だけで)生活するようになる→さらに関節が硬くなる、というような負のループに陥ってしまうことが挙げられます。
つまり、時間の経過とともに(成長していくにつれ)ますます体が硬くなっていくということです。
実はこれには大問題が隠れているのです。
それは、成長期を過ぎて大人の体になった後問題になります。
成人を迎えヒトの関節は以後年とともに少しずつ硬くなっていきます。
これは自然の摂理なのである意味どうしようもない事実です。
成長期を終えた時点ですでに体が硬い状態になっている場合、柔軟性がある人より不利な状態からスタートすることになるのです。
つまり年を重ねた時にはっきりと差が出てくるということです。
子どもの柔軟性や体力を高めるのは、今だけが大事というだけではないのです。
将来子どもさんが年老いた時のためにも、今何ができるのか、何を大切にしなければいけないかを考えないといけないのです。