- 昔ながらの外遊びは、体幹機能の発達に効果的である。
- その一例として「だるまさんがころんだ」が挙げられる。
- 体の動きをピタッと止めている時などには体幹筋が働いている。
- かくれんぼなどで大きな声を出すことで、体幹筋が強化される。
体幹の安定はよい姿勢をとるための基本になることだけでなく、体幹が安定することで、手足が上手く使えることにもつながります。
逆にいえば、手足がうまく使えないのは、体幹が安定していないことも要因の一つになっているといえるのです。
さて、昔ながらの遊びは体幹機能(筋力や柔軟性、筋肉の協調性のある活動など)を発達させるためにも重要な役割を担っています。
ここでは「だるまさんがころんだ」を例にその理由についてお話していきましょう。
「だるまさんがころんだ」の運動学的分析
だるまさんがころんだは伝承あそびの中でもメジャー級の遊びなので、おそらくほとんどの方がご存知、あるいは子どもの頃に遊んだ記憶があるかと思います。
鬼が後ろ向きで「だるまさんがころんだ」と数えている間に鬼に近づき、振り返った瞬間に体の動きをピタっと止める。
また「だるまさんが、、、」と後ろを向くと、近づくことを再開する。
最後は鬼にタッチして、その瞬間にサッと鬼から逃げる、という遊びですね。
この遊びには体幹機能、バランス能力、体の協調性などを発達させる要素が詰まっています。
では鬼に近づいていく時の体の反応について書いてみます。
鬼が後ろを向いている間、鬼に向かって移動します。
鬼が振り向いた瞬間、即時に体の動きを止めなければなりません。
簡単に止めるためには初めから動きをゆっくりしておけばいいだけのことですが、それでは何時まで経っても鬼に近づいていけません。
ある程度の速さでササッと近づくことが必要になるのですが、移動の動きが早くなればなるほど急激に静止する必要があります。
だるまさんがころんだの遊びは運動的に見ると次のように分類されます。
- 鬼がもうすぐ振り向くぞ
- 鬼が振り向き始めた
- 鬼が振り返った!
- 鬼がこちらを向いている
- 再び鬼が「だるまさんが、、」と数えだした
この時に体がグラグラ動いてしまうと「動いた!」と鬼に指摘され、アウトとなってしまいます。
では瞬間的にピタっと体の動きを止めるために体のどのような働きが必要なのか、運動学的に書いてみます。
- 鬼がもうすぐ振り向くぞ
→耳から音として入った刺激から、体の動きを止めるための準備をはじめる。 - 鬼が振り向きはじめた
→耳と目から入った刺激をもとに体幹筋や腕や足の筋肉を収縮させる用意をし、収縮させるタイミングを図る。 - 鬼が振り返った!
→まず一気に体幹筋(腹筋、背筋)を収縮させ(働かせ)、体幹の動きを止める。直後に腕や足の動きを止める。 - 鬼がこちらを向いている
→筋肉の収縮を継続させ、グラグラしないようにじっと静止している。 - 再び鬼が「だるまさんが、、」と数えだした
→固定していた体を一気に解除し、体幹、腕、足をそれぞれ別々に活動させることを再開する。
このようにだるまさんがころんだの最中、体幹はずっと活動しています。
声を出すことと、体幹の発達の関係
次に声を出すことと体幹の関係性について見てみます。
声を出す、その中でも大きな声を出すことで腹筋が活動します。
また瞬間的に力を必要とするときには無意識に声は出ているものです。
例えば重いものを持ち上げるときやスポーツ選手なども力が必要な時に瞬間的に声を出します。
それは腹筋を活性化させ体幹を安定化させるためでもあるのです(もちろん気力を充実させるためなど他に理由はありますが)。
家遊びでは最近の住宅事情もあり大きな声を出す機会は少ないでしょうが、外遊び(昔ながらの遊び)では声を出す機会が多くあります(だるまさんがころんだ、かくれんぼなど)。
もちろん歌をうたうということも体幹機能の向上に効果的です。
大声を出して遊び、大きな声で歌をうたう。
それだけで体幹筋は活性化し、強くなっていきます。
もちろんそれは姿勢にも好影響を与えます。