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「体の不器用さ」には二つある。「経験不足による不器用」と「発達性協調運動障害による不器用」

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子どもと姿勢研究会のサイトを通して某市の公立保育所の保育士さんより、子どもの体作りに関する講師依頼がありました。

「どのような内容のお話がご希望ですか?」とお尋ねしたところ、「体幹を主軸とした、遊びの中での体作りのポイントを教えて下さい」とのことでした。

保育所の中で「何もない所で転ぶ」、「真っ直ぐに座れない」など体を上手く使えない(不器用)の子どもが多く、その原因となっているのが、体幹機能の弱さではないか、と考えられたそうです。

 

確かに体幹機能の弱さは、体の様々な不調の原因になります。

そのための講義内容を考えていて、「不器用を考える時、明確にしておくほうがよい」と思ったことがあります。

 

それは、「体がうまく使えない(不器用な)子どもには2つのタイプがある」ということです。

経験不足による不器用な子どもたち

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純粋に、外遊びなどの経験が少なく、あるいは家の中でゲームばかりしているため、体幹機能をはじめ体のバランス良い発達ができずに、体の不器用さがある子どもです。

こういった子どもの場合は、(できれば幼児期がよいのですが)積極的な外遊びを行う、自由な遊びの中で体を鍛えていくというのが最も効果的です。

経験値を増やしていくことで、子どもは自然に筋力やバランス能力を強化し、また体の使い方の学習を重ねていくことで、次第に不器用さは減っていくでしょう。

発達性協調運動障害がベースにある不器用な子どもたち

一方で発達性協調運動障害がベースにあり、そのため不器用さやバランスの悪さが出てきている子どもたちがいます。

発達性協調運動障害とは、以下の通りです。

筋肉や神経、視覚・聴覚などに異常がないにもかかわらず、「ボールを蹴る」「字を書く」などの協調運動に困難を呈する障害。発達障害の類型の一つとされる。

 

この障害を持つ人は、例えば「這(は)う」「歩く」といった乳幼児期の運動面の発達においてすでに、標準の月齢より遅れが見られる

 

学齢期には、いわゆる「不器用な子」「運動が苦手な子」として見られ、学業成績に影響を及ぼしやすい

 

また、同世代の子どもとの遊びについていけないといった社会的な困難も生じやすい。症状の程度によっては生活技能訓練を行い、社会生活への適応を促すこともある。

コトバンク

発達性協調運動障害は、明らかな疾患がないにも関わらず、体がうまく使えないなどの特徴がある場合に診断されます。

ADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)の子どもさんに併発することがありますが、単独で診断がつくケースもあります。

ちなみに、発達性協調運動障害は子ども全体の6~10%に存在すると言われています。

35人クラスだと3人程度はいるということになりますね。

 

こういった子どもは、「体の各部分をうまく協調させて使うことができない」ということがベースにあるため、たくさん外遊びや運動をしたから器用になっていく、というものではありません。

またトレーニングジムなどで、筋トレをするというのもあまり効果的ではないでしょう。体の使い方(筋肉の使い方や複数の筋肉を組み合わせて使う方法)を学習させていく必要があるからです。

 

つまり、上手く体を使えない原因がどこにあるのかを見つけ、体の各部分の協調した使い方ができるようになる練習を行っていく必要があります。

もちろん外遊びなどの経験も、練習の一つになりますが、難しい課題を何度も繰り返すような遊び方はしないようにしましょう。

全身運動が不器用?その理由と発達を促す遊びの紹介

経験不足の場合は失敗経験を、発達性協調運動障害の場合は成功体験を

遊びの中で経験学習させる時に、気をつけておくべきことが一つあります。

それは、「単なる経験不足」の子どもは、「失敗経験を多くさせる」ということ、「発達性協調運動障害がベースにある(かもしれない)子どもは「成功体験を多くさせる」ということです。

経験不足が原因の場合

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子どもは「失敗することで成功率を上げていく」という発達の仕方をします。

これには小脳が関係していると言われます。

何かの動作や作業をしていて、失敗をする度に、その失敗経験を小脳に蓄積させていくのです。

 

失敗を繰り返す中で、ふと成功方法を見つけることができれば、徐々に成功率が高くなり、最後は失敗をしなくなります。

これは「赤ちゃんが歩き始める時」で考えると分かりやすいでしょう。

 

つかまり歩きをしている赤ちゃんが手を離して歩く瞬間がありますが、たいてい1~2歩で倒れてしまいますね。

それを繰り返しているうちに、5歩、10歩と歩数が増えていき、気が付くと自由に歩き回れるようになっていた、という経過をたどります。

 

はじめから、一回も転ばずに歩いた赤ちゃんはいません。つまり、失敗経験を繰り返すことが成功するために大事な過程なのです。

このように、経験不足が原因で体が上手く使えない子どもの場合は、失敗経験を多くさせることで成功率を上げていくことができます。

発達性協調運動障害が原因の場合

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発達性協調運動障害の子どもの場合は、失敗経験をできるだけ少なくし、「成功体験」や「上手く行ったことを認識させていく」方法が最善だと言えます。

なぜなら彼らはこれまでに失敗したこと、上手くできなかったことが多くありすぎるため、自分に自信が持てなくなっているからです。

 

これまでの失敗経験から「自分は何をやっても上手くいかない」、「どうせこれも上手くできない」と考えてしまうため、意欲の低下につながりやすい状態になっていることが多いものです(実は私もスグに物を落とすなどかなり不器用で、自分が嫌になることが良くあります)。

そのため「上手くできた!」という成功体験を多くさせてあげることは、「自分もやればできるんだ!」という自信の回復にもつながります。またそれにより他の活動への意欲にもつながります。

 

「やればできるから」という根拠のない励ましは、彼らの「できない辛さ」を無視した言葉かけなので注意してください。

成功体験を得られそうなことから始め、上手くできない場合には「どうしてできないの」や「繰り返し頑張れば絶対できるから」という声かけはせずに、他のことをするなど状況設定を変えるようにしてみましょう。

まとめ

  • 不器用な子どもは二つのタイプに分類されます。一つは単なる経験不足によるもの。もう一つは発達性協調運動障害によるもの。
  • 経験不足が要因の子どもの場合、その動作を繰り返し行うことと、失敗経験を積み重ねていくことが体の使い方の不器用さを軽減させることにつながります。
  • 発達性協調運動障害がベースにある子どもの場合、できるだけ成功経験を多くできるように課題を設定してあげましょう。また「やればできる」などの励ましは、逆に子どもを追い詰めることになるので、言わないようにしましょう。

西村猛のオススメ本

にしむらたけし

学校の先生や保育士さんなど、発達性協調運動障害のあるお子さんへの支援を行なっている方に読んでいただきたい本です。もちろん保護者の方もお読みいただける内容です。

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