ハンカチ落としの効果|見えない背中側を感じる固有覚と、姿勢・注意力を育てる遊び

1.どんな遊び?

ハンカチ落としは、子どもたちが輪になって座り、その周りを鬼役の子がハンカチを持って静かに歩き回る遊びです。

鬼は歩きながら、座っている子どもたちの誰かの背中側にそっとハンカチを落とし、気付かれないようにその場を離れます。

ハンカチを落とされた子は、背中側に落ちたハンカチに気付いたらすぐ立ち上がって鬼を追いかけ、鬼は空いた場所に座れれば成功という、シンプルながらドキドキ感と駆け引きのある昔ながらの遊びです。

2.体の発達への効果

固有感覚(身体位置感覚)が育つ

座って待っているあいだも、姿勢を保つために体幹や股関節まわりの筋肉が働き続けています。

さらに子どもは、「自分では見えていない背中側」に落とされたハンカチを、衣服越しの触れた感じや気配、周りの様子の変化などから探そうとします。

目で直接確認できない体の後ろ側を意識しながら動く経験は、「見えない部分の身体の位置や動きを感じ取る」固有覚やボディイメージを育てるうえで、とても重要な役割を果たします。

体幹とバランスの安定

輪になって床に座り続けることで、骨盤を立てて上半身を支える体幹筋が自然と使われます。

ハンカチに気付いた瞬間に素早く立ち上がり、すぐに走り出す一連の動きでは、重心を前方へ大きく移動させる必要があり、バランス能力や姿勢変換のスムーズさが養われます。

注意力と抑制の力

「いつ自分のところにハンカチが来るか」をドキドキしながら待ちつつも、その場で静かに座っていなければならないため、「動きたいけれど、今は止まっておく」という自制の練習になります。

また、鬼の足音や動き、周りの子どもたちの反応を感じ取りながら、走り出すタイミングを判断することで、注意の向けどころや切り替えの力も育ちます。

社会性・感情のコントロール

鬼役の子は、誰の後ろにハンカチを落とすかを考えながら歩くため、友だちの様子や雰囲気を観察する経験ができます。

追いかける側・追いかけられる側の両方を体験する中で、嬉しさや悔しさ、ドキドキする感情を味わいつつも、ルールの中で楽しむことを学んでいきます。

3.遊びのポイント・アレンジ

姿勢づくりのポイント

座っている子どもには、「背中を丸めずに、頭を高くしてね」「お尻をしっかり床につけて座ろう」など、姿勢に関するわかりやすい声かけを加えると、体幹への意識づけにつながります。

長時間の床座位が難しい子には、座る時間を短く区切ったり、椅子に座って行うバージョンから始めると参加しやすくなります。

固有覚をより働かせる工夫

立ち上がるタイミングで「よいしょ」などの掛け声を合わせると、体を大きく動かす意識がしやすくなります。

走るコースを少し長めにとったり、コーンやマーカーを置いてジグザグに走るルールを追加すると、関節を大きく曲げ伸ばししながら、体幹・バランス・固有覚をさらにしっかり使うことができます。

発達に合わせた配慮

走るのが苦手な子どもには、追いかける側を大人が一緒に走る、歩く形での追いかけっこにするなど、スピードや距離を調整することで安心して参加できるようになります。

後ろから近づかれることに不安がある子どもには、「少人数で行う」「ハンカチを落とすときに軽く声をかける」「一度見本を見せてから参加してもらう」など、一人ひとりの感覚特性に合わせた段階づけが効果的です。