多機能事業所さんのご利用者の椅子作製
昨日、神戸市内にある某福祉施設(多機能事業所)さんに行ってきました。
この施設の利用者の方で、いわゆる一般的な椅子に座っていると、体が崩れてきてしまうという方がおられます。
「この方の姿勢をどうしてあげるのがよいでしょうか?」というご依頼を受け、これまで二度ほど様子を見に伺っていました。
はじめは、クッションなどを使って、姿勢を正すような取り組みをしていたのですが、原則的に姿勢というものは、クッションではなかなかコントロールできません。
そこで、専用の椅子を作製することをご提案しました。
専用椅子は、制度上「座位保持装置」と呼ばれます
専用の椅子とは、「座位保持装置」という仰々しい名前で呼ばれる椅子で、その名の通り、座位を保持するための装置(椅子)です。
椅子の形状、椅子のクッション部分の形状やタイプ、リクライングやティルト機構の必要性などを、椅子を作製してくださる専門業者さんとともに、お体を評価しながら検討していきます。
ちなみに、同行いただいた業者さんは、「股パッド」を作製してくれている、「きずな工房」さんです。
【股止めプロジェクトVol.2】「きずな工房」さんオリジナル!椅子につけるだけで姿勢が良くなる、股パッドが完成!
上の写真は、クッションの材質の見本です。
60種類もある中から選べるとのことですが、多すぎて優柔不断な私だったら、決めるのに3日くらいかかりそうです(笑)。
今回作製するのは、木製の椅子ですが、金属フレームのある椅子なら、フレームの色も選べるそうです。
ネームも入れられるということで、本当に「世界に一つだけの椅子♪」という感じです。
業者さんは、こういった椅子の作製を得意とする専門家なので、ご本人の体のサイズ、形に合わせて作製してくれます。
そのため座るご本人は、楽にその姿勢を保持することができます。
もちろん、そのためには、「どのような姿勢を取ることがその方にとって最良か」という評価が大事なのはいうまでもありません。
そこは、姿勢の専門家である私の出番です。
このようにして、姿勢の専門家と木製椅子作製の専門家のコラボによって、「その人にとって、一番楽で、活動を行いやすい椅子」を作ることができます。
座位姿勢が変わると、「視野・呼吸・手・声・食事」にも効果が!
姿勢が良くなると、見た目だけでなく、「視野がひろがる」「呼吸がしやすくなる」「手を使いやすくなる」「声が出しやすくなる」「食事がしやすくなる」など色々な波及効果があります。
今回は、成人の身体障害のある方の椅子作製でしたが、体の不自由なお子様の専用椅子も、身体障害者手帳で作製することができます。
障害のないお子さんももちろんですが、体の不自由なお子さんや成人の方こそ、体に合った椅子が必要です。
体の不自由なお子さんや大人の方で、キチンとした椅子を使われていない方は、こういった座位保持装置について、一度検討してみてはどうでしょうか。
「どのような椅子を選んだら良いのか分からない」という方は、どうぞ私、西村までご相談下さい。
※なお、身体障害者手帳をお持ちの方は、こういった椅子の作製にかかる費用の多くを、公的負担でまかなうことができます(所得に応じて自己負担額が変わるのと、医師の意見書や公的機関の認定が必要になります)。