「発達障害児の姿勢の崩れ=体幹が弱い」とは限らない
発達障害のあるお子さんは、「姿勢が崩れやすい」という問題を抱えていることが多くあります。
「椅子に座っていても、体が崩れてくる」「突っ伏す」「頬杖をつく」「すぐに離席する」などです。
これらは、「正しい姿勢で座ることができない」ということでもあります。
こういった場合、一般的には「体幹が弱いから」ということがよく言われます。
ボディイメージの弱さも姿勢の崩れに関係する
しかし、正しく座れないという課題の裏には、体幹筋の弱さだけでなく、「ボディイメージの弱さ」ということも関係していることが多くあります。
ボディイメージとは、「自分の体の位置関係がどうなっているのか」を目で見なくても分かる能力のことを指します。
例えば、発達障害のあるお子さんの場合、何もないところでよく転ぶという問題が多くみられます。
これは「どの程度つま先を上げると、地面に当たらないか」という感覚(ボディイメージ)がよく分かっていないため、つま先が地面に引っかかりやすくなるためです。
姿勢の保持でも同じことが言えます。
ボディイメージが弱いと、姿勢の崩れに気付きにくく、修正することにつながりにくくなるのです。
どこに原因があるのか正しく評価することが大切
もちろんそれ以外に、「椅子と机のサイズが体に合っていない」、「背骨や胸郭(胸)の歪みがある」など、姿勢が崩れる原因は他にもたくさんあります。
そのため「どこに原因があるのか」ということについて、まずは正しく評価をすることが大切です。
理学療法士や作業療法士は、解剖学や生理学、運動学などの医学的根拠を元に、お子さんの姿勢を評価してくれます。
発達障害のあるお子さんの場合、療育プログラムとして理学療法士や作業療法士にかかっている方も多いと思いますので、療育を受ける際に姿勢に関する相談もしてみてください。
正しく評価ができた後で、「どのように対処し、改善させていくのか」というプログラムを考えることになります。
おわりに
発達障害のあるお子さんの場合、課題は個々によって違います。
特にボディイメージの低下は、姿勢の崩れの原因となっていることも多くあります。
そのため「姿勢が悪いなら、体幹筋を鍛える」というような決まった方法を実践するのではなく、ボディイメージの低下も含め、「どこに原因があるのか」ということについて、理学療法士や作業療法士の評価を受けるようにしてみましょう。