よく耳にする「体幹筋」って、どんな筋肉?理学療法士が分かりやすく解説します

今回は、「体幹筋」についての基礎をご紹介します。

 

体幹筋トレーニングなどが、多くの書籍でも取り上げられているので、一度や二度は目にした方もおられるでしょう。

また、発達障害のあるお子さんなどでは、「体幹筋が低緊張ですね」などと指摘されることもあると思います。

では、どこにある筋肉?と聞かれると、ちょっと答えに困ってしまうかもしれませんね。

そこで、今回は「体幹筋」を構成する筋肉について分かりやすく解説します。

お腹側にある筋肉(腹筋)※表面側の筋肉

体幹筋には、大きく分けて2つあります。

一つが、お腹側(体の前)にある腹筋(群)です。

ちなみに腹筋群の「群」とは、複数の腹筋をまとめて呼ぶときに使う言葉です(群衆の群ですね)。

腹筋という言葉は、一つの筋肉だけではなく、いくつかの筋肉の総称なのです。

一般的に腹筋と呼ばれている筋肉は、下の図にある「腹直筋」という筋肉です。

この筋肉は、「寝転がった状態からお腹の力で起き上がる時に使う筋肉」です。

これら「お腹の表面側にある腹筋は、体幹(お腹)の前に広く配置され、「内臓を守る」という大切な役割を担っています。

つまり、これらの筋肉を鍛えることは、内蔵を保護するためにも大切な意味があります。

また表面にある腹筋は、上述の起き上がる活動など、体のダイナミックな動きに関係する筋肉です。

お腹側にある筋肉(腹筋)※深部側の筋肉

一方で、お腹側の深い位置にある筋肉も腹筋群の一部です。

その中でも下の図にある「腹横筋(ふくおうきん)」は、腹直筋などと違って、特別な役割があります。

腹横筋の特別な役割とは、「姿勢の保持にとって大切な筋肉」であるということです。

腹横筋が働くことで、腹圧(お腹の中の圧力)を高める作用があります。

これによって、体幹が安定し、体を真っ直ぐに保つことができるようになります(コルセットの役割があります)。

逆に言えば、腹横筋がしっかり働いていないと、体が安定せず、姿勢が崩れやすくなったり、体がグラグラしたりすることにつながってしまいます。

なお、この腹横筋を鍛えるには、腕立て伏せや手押し車(一人が腕立て伏せの位置になり、もう一人が足を持ち、前に進んでいく運動)がオススメです。

背中側の筋肉(背筋群)※表面&深部の筋肉

背中側の筋肉も、体幹筋の一つです。

これらの総称を、「背筋群(はいきんぐん)」と呼びます。

体幹筋の中では、静的に活動する筋肉です。

例えば、背筋を伸ばした姿勢(姿勢を正した位置)で、そのままの姿勢を保つ時などによく働く筋肉です。

一般的に人の体の前(前面)にある筋肉は、「動(活動する)」の筋肉、体の後ろ(背面)にある筋肉は、「静(姿勢を保持する)」の筋肉です。

つまり、良い姿勢を保持するためには、背筋の活動も重要な役割を担っている、ということが分かると思います。

良い姿勢を保つには、腹横筋と背筋群がしっかりと活動すること

体幹筋のうち、深部にある腹横筋と背筋群がしっかりと働くことで、姿勢は美しくなります。

子どもの姿勢を改善させようとする場合、単に腹筋運動(仰向けに寝た状態から起き上がる)だけを行なっていても、効果的ではありませんので、注意が必要です。

子ども自身にも、腹横筋の辺り(上の図を参照してください)と背筋を意識させた状態で、姿勢を正すような声掛けを行うのがよいでしょう。

まとめ

・体幹筋には、お腹側の「腹筋群」と背中側の「背筋群」の2つがあります。

 

・腹筋群は、表面上の筋肉と深部の筋肉では、役割がそれぞれ違ってきます。

 

・背筋は姿勢保持において、とても重要な役割を持っています。

 

・良い姿勢を保つためには、腹筋群の「腹横筋」と背筋群を意識させることが大切です。