【理学療法士が教える】「体幹筋」とは?姿勢を整える大切な筋肉を簡単解説!

「体幹筋」という言葉を聞いたことがありますか?

書籍や運動指導などで取り上げられることも多く、特に発達障害のあるお子さんにおいては「体幹筋が低緊張ですね」と言われることもあるかもしれません。

この記事では、子どもの姿勢改善に大きな影響を与える体幹筋の基本について、分かりやすく解説します。

体幹筋とは?お腹側と背中側の筋肉を解説

お腹側の筋肉(腹筋群)

体幹筋は大きく分けて「腹筋群」と「背筋群」の2つに分類されます。

ちなみに腹筋群の「群」とは、複数の腹筋をまとめて呼ぶときに使う言葉です(群衆の群ですね)。

腹筋という言葉は、一つの筋肉だけではなく、いくつかの筋肉の総称なのです。


では、まずはお腹側の筋肉「腹筋群」について見ていきましょう。

1.表面にある腹筋

腹筋群には、体の前面に広がる複数の筋肉があります。その中でも代表的なのが腹直筋外腹斜筋です。

  1. 腹直筋
    腹直筋は、一般的に「腹筋」と呼ばれる筋肉で、寝た状態から体を起こすときに使われます。また、内臓を保護する役割も担っています。シックスパックとして知られる筋肉も腹直筋です。
  2. 外腹斜筋
    外腹斜筋は、腹直筋の両側に位置する筋肉で、体をひねる動きや側屈(横に曲げる動き)に関与します。スポーツや日常動作で重要な筋肉であり、これを鍛えることでバランスの良い体幹を作ることができます。

これらの筋肉は、内臓の保護だけでなく、動的な動作や姿勢の安定にも大きく寄与します。

2.深部にある腹筋

腹筋群には、表面だけでなく、深部にも重要な筋肉があります。

その代表的なものが腹横筋内腹斜筋です。

  1. 腹横筋(ふくおうきん)
    腹横筋は、お腹の最も深い層に位置し、腹圧(お腹の中の圧力)を高めることで、体幹を安定させる役割があります。これは、まるでコルセットのように体を支え、姿勢を保持するのに欠かせない筋肉です。腹横筋がしっかり働くことで、背骨を真っ直ぐ保つことができ、体全体の安定性を高めます。
  2. 内腹斜筋(ないふくしゃきん)
    内腹斜筋は、腹横筋の少し外側に位置する筋肉で、体をひねる動きや側屈(横に曲げる動き)に関わります。外腹斜筋と連携して、体幹の回旋や安定に貢献します。また、腹横筋と同様に、腹圧を高める働きがあり、姿勢保持にも重要な役割を果たします。

これらの深部筋肉を鍛えることで、体幹の安定性が向上し、姿勢が崩れにくくなるだけでなく、スポーツや日常生活でのパフォーマンスも向上します。

おすすめのトレーニングとしては、腕立て伏せや手押し車などがあります。

背中側の筋肉(背筋群)※表面&深部の筋肉

背中側の筋肉(背筋群)

体幹筋には、背中側に位置する**「背筋群」**も含まれます。背筋群は体幹の安定性を支える重要な筋肉で、姿勢を保つ際に大きな役割を果たします。日常生活では意識しづらい筋肉ですが、立ったり座ったりといった姿勢を維持するために常に働いています。

背筋の特徴

背筋は、体の背面に広がる筋肉群で、主に静的な姿勢保持に特化しています。この「静的な保持」とは、動作中に体を動かさず、特定の位置を安定的に保つ働きを指します。例えば、背筋が適切に働くことで、猫背を防ぎ、背骨を正しい位置に保つことができます。

また、背筋群は広範囲に分布しており、それぞれ異なる役割を持っています。背中の表面近くに位置する筋肉は、動きに関わる役割が比較的強く、一方で深部の筋肉は、骨や関節を支えるために重要です。こうした筋肉がバランス良く機能することで、良い姿勢が実現されます。

子どもの姿勢においては、ゲームやスマートフォンの使用が増え、背筋が弱くなることで姿勢が崩れやすい傾向があります。

そのため、背筋を鍛えることは、姿勢を整え、腰痛や肩こりといった不調の予防にもつながります。

背筋を意識した姿勢改善

背筋を鍛える簡単な運動として、「背伸びエクササイズ」や「飛行機ごっこ(うつ伏せで飛行機になったように両手を広げ、胸を浮かせる」が効果的です。

これらの運動を取り入れることで、背中の筋肉がバランス良く鍛えられ、日常生活での姿勢維持がしやすくなります。

良い姿勢を保つポイント

体幹筋のうち、深部にある腹横筋と背筋群がしっかりと働くことで、姿勢は美しくなります。

子どもの姿勢を改善させようとする場合、単に腹筋運動(仰向けに寝た状態から起き上がる)だけを行なっていても、効果的ではありませんので、注意が必要です。

子ども自身にも、腹横筋と背筋を意識させた状態で、姿勢を正すような声掛けを行うのがよいでしょう。

まとめ

  • 体幹筋には、お腹側の「腹筋群」と背中側の「背筋群」の2つがあります。
  • 腹筋群は、表面上の筋肉と深部の筋肉では、役割がそれぞれ違ってきます。
  • 背筋は姿勢保持において、とても重要な役割を持っています。
  • 良い姿勢を保つためには、腹筋群の「腹横筋」と背筋群を意識させることが大切です。