
「なんでうちの子だけ…」そんなふうに悩んでいませんか?
「体の動かし方がぎこちない」「靴ひもがなかなか結べない」「ボール遊びになると、みんなから少し離れてしまう」
こうした子どもたちの様子に、心を痛めている保護者の方や、日々子どもと向き合う保育士さんは多いのではないでしょうか。
でも、これらの困りごとは、単に「不器用」だからではない可能性があります。
それが 発達性協調運動障害(DCD) です。
発達性協調運動障害(DCD)とは?
DCDは、「体を思ったように動かすこと」が難しい発達の特性です。
脳の中の「動きを調整する部分」の働きに課題があるため、動作そのものは学んでも、うまく実行に移せない という特徴があります。
特に知的な遅れがない場合、「どうしてできないの?」と誤解されやすく、見逃されがちです。
日本ではあまり知られていませんが、実は 子どもの5〜8%に見られる 比較的よくある状態だとされています(私の療育場面における個人的な印象では、この数字よりもっと多く存在する印象があります)。
どんな特徴があるの?
以下のような困りごとが、日常生活や遊びの中で見られます。
- つまずいたり、転んだりすることが多い
- 服を着る・ボタンを留める・靴ひもを結ぶのが苦手
- ボールを投げる・キャッチする・縄跳びが苦手
- 絵を描く、字を書くといった細かい作業に時間がかかる
- ダンスや体操などの模倣がうまくできない
- よく周囲の子に「なんでできないの?」と言われてしまう
本人なりにがんばっていても、周りと比べてしまうと「できないこと」が目立ち、自信を失いやすくなります。
誤解されやすいポイント
DCDの子どもたちは、「怠けている」わけではありません。
「動きたいのに動けない」「がんばっているのにできない。
そんな心の葛藤を抱えていることが多いのです。
しかし、大人がこの特性を知らないと、
- 「もっとちゃんとやりなさい!」
- 「ふざけないで!」
- 「やる気がないんじゃないの?」
といった声かけをしてしまうことも。
これでは、子どもはますます自信を失い、「どうせ自分なんて…」という気持ちになってしまいます。
家庭や保育現場でできるサポートとは?
DCDの子どもたちは、ちょっとした配慮と工夫で、のびのびと力を発揮できます。
できないことを責めない
「何度言ってもできない」と感じても、頭ごなしに叱るのではなく、「どうすればやりやすくなるかな?」と一緒に考えることが大切です。
小さな成功体験を積ませる
最初から完璧を目指すのではなく、「できた!」という小さな経験を積み重ねることが、自信と意欲につながります。
スモールステップで練習
複雑な動作は分解して、1つずつゆっくりと練習します。
たとえば「靴ひもを結ぶ」動作も、3〜4つのステップに分けて教えると理解しやすくなります。
周囲の理解も大切
集団生活の中では、周りの子どもたちや保育士さんの理解も必要です。
「○○ちゃんはちょっとだけゆっくりさんなんだよ」と、自然な形で伝えられるとよいですね。
専門家のサポートを活用する
理学療法士や作業療法士によるサポートを受けることで、子ども自身も親も「できる方法」が見つかりやすくなります。
大人が理解することで、子どもは変わる
DCDは見た目ではわかりづらく、誤解されやすい特性です。
だからこそ、まず「特徴を知ること」がサポートの第一歩になります。
「できない=やる気がない」ではなく、「どうすればできるか」を一緒に考えてくれる大人の存在が、子どもにとって何よりの安心と力になります。
保護者の方や保育士さんが、ひとりでも多くこの特性を知ってくださること。
それが、子どもたちの笑顔につながる大きな一歩です。


