落ち着いて座れないのは「動いている感覚が好きだから」。根性論ではなく逆転の発想で対処しよう!

落ち着きがない子をどう捉えるか?

幼児期にはあまり問題にならない「落ち着きのなさ」ですが、小学校に上がるとしばしば問題行動として捉えられてしまうことが多くあります。

なぜかというと、学校は「静かに落ち着いて座り、時間中は動き回らずに授業を受けること、が正しい授業の受け方」と捉えているからです。

多くの先生は、「動き回る=落ち着きがない」または「我慢ができない」と捉えています。

つまり、静かに座っていられないという時点で、「ダメだこりゃ」と即座に判断しているわけです。

落ち着きがないのは「動いている感覚が好きだから」もある!

ところが、動き回る理由として「落ち着きがない」とは限らないことも多々あるのです。

それは、「自分が動き回っている感覚が好きだから、常に動いてしまう」という子どもが結構いるということ。

体を常時動かしているのは、「体が動いている感覚が好き」だからです。

それと同じく、「走っている(体で感じる)感覚そのものが好き」とか「走ることで顔に風が当たる感覚が好き」といったことが理由になっていることもあります。

 

要は、好きな感覚刺激を求めている、ということですね。

だから、動くことが先にありき、ではなく、動いている時の感覚刺激が好きだから動き回るという行動に出ているわけです。

ただしく評価できていないと、精神論に終始してしまうので注意

こういった理由を知らない、あるいはその刺激を求めているという事実を知らなければ、「やる気がない子だ」「我慢ができない子だ」などとレッテルを貼られてしまいます。

そしてそれは、「やる気があれば座れるはず」「根性を出せばできる」などの精神論に至ってしまうリスクがあります。

 

子どもを適切に評価できていないのに、精神論に終始してしまうようでは、子どもは誰からも理解されないまま小学校生活を過ごすことになります。

そして、「君は我慢ができない子だ」「やる気を出せ!」と言われ続けるうちに、学校が面白くなくなり、そのため学習にも関心を持てず、勉強についていけなくなり、(特に高学年になると)やがて引きこもりにつながることもあります。

精神論は、何も生み出さないばかりか、子どもの自信を奪うばかりなのです。

座っているところが動くと、気持ちが落ち着くという環境設定

こういった場合は、発想の転換が効果的です。

例えば、「動いていることが好き→でも椅子は固定されている→だから体を動かす」というのを、逆転の発想で考えると以下のようになります。

「動いている感覚が好き→体を動かすと授業に集中できない→椅子を動かせばいい」

つまり、椅子そのものが動くなら、それが「動いている刺激になるので、体を動かす必要がなくなる」という発想ですね。

その一つが、上のツイートで書いた「トレーニングボール(バランスボール)の上に座って勉強する」という方法です。

私の指導経験からも、「トレーニングボールの上に座る」ことで、「動いている快刺激を感じることができるため、逆に気持ちが落ち着き、集中力が高まる」という子どもたちが多くいました。

学習指導にも使っています
私の運営している「発達障害のための個別学習塾 寺子屋ゆず」でも、トレーニングボールに座って課題を行うお子さんが数人おられます。どのお子さんも、揺れ刺激を快刺激として感じることができるため、椅子に座っているよりも長い時間課題に向かうことができています。


こういったボールに座って課題を行うことも。

 

「トレーニングボールの上に座って勉強するなんて、間違っている!」と怒るよりも、「落ち着いて授業を受けるために、トレーニングボールを利用する」という発想ができれば、子どもは救われます。

また、勉強も面白くなるかもしれないのです。

 

つまり、大人が正しく子どもを評価し、子どもにとって快適な環境設定をしてあげることができれば、ひいてはそれが、将来の引きこもりを予防することにつながることにもなるのです。

やる気とか根性とかを引き合いに出さなくても、少しの環境設定で救われる子どもがいるという事実を、学校の先生方をはじめ、多くの大人の方に知っていただきたいです。

こんな椅子を使ってみるのもいいかも?

世界初!赤ちゃんをあやし寝かしつけるイス「LaLaCoチェア」は、もともとは大人が赤ちゃんを抱っこして寝かしつけに使う用に開発された椅子です。

座面の下にバネがあり、大人の体重で上下に揺れ動かすことで、赤ちゃんにも心地よさが伝わり、気持ちよく眠りにつかせることができます。

この「LaLaCoチェア」に子ども自身を座らせ、自分の体重で上下にはねさせることで、座った状態でありながら体の上下の揺れの快刺激を得ることができます。

販売元の「株式会社 AH Products」さんに、子どもが使うことについて、いくつかお尋ねしました。

西村猛
 子どもが座る場合、身長や体重で○○センチ以上、○○キロ以上などの規定はありますか?
担当者さん
ある程度の体重が必要になります。気持ち良い揺れにするためには3年生くらいからだと思います。大人の膝の上で大人が揺らす場合は体重合計で100Kgまでを奨励しています。耐久は120Kgまで大丈夫です。
西村猛
 子どもの場合、必要以上に跳ねるなどの行為があると思いますが、安全面で何か気を付けておくべきことはありますか?
担当者さん
今の所、特にありません。
西村猛
 その他、お子さんを対象としてお勧めする場合、注意事項はありますか? 
担当者さん
椅子の上で飛び跳ねる使い方はさせないようにお願いします。

ということで、概ね小学校3年生以降であれば、子ども自身が使うことも可能とのことです。ただし、あくまでも椅子なので、飛び跳ねるなど怪我のリスクにつながるような使い方はさせないようにご注意ください。

LaLaCoチェアは、特別支援学校などでも導入されているとのことです。

上下の揺れが快適刺激となり、勉強などにも集中できれば、一石二鳥ですね。

LaLaCoチェアの詳細はこちら